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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 183

「相棒…」
「ああ、『最高』のだ。手入れが大変なのを除けばな」
そう言い、男は笑った。
「おっと…名前を言ってなかったな。ダミアンだ。そして、俺のもう一人の相棒で…」
「クレーネです。あなたの事は知ってるわよ。ランドルフ君でしょ?」
美しい金髪を肩まで伸ばした、スレンダーな美女が尋ねた。
「はい…でも、どうして知ってるんです?」
「あら、あなたって魔導師の間じゃ有名なのよ?」
「そう…なんですか」
「で、ランドルフ君…君の隣で膨れてる美少女は誰だい?」
ランドルフはリリアンをなだめつつ、言った。
「彼女はリリアンです。僕のその…『相棒』です」
「そうか…今のところ、人間で予選へ行けるのは俺達だけみたいだからな。お互い、本選へ行けるよう、頑張ろう」
「はいっ!」
ダミアンの握手にランドルフは応えた。


コツッコツッコツッ…
会場内、人気のない廊下を大きな布袋を背負った少女が歩いている。
「…うん…ごめんね…あんな雑魚じゃ満足できないよね…でも…うん…次はもっとおいしいのをあげるから…」
「おやおや…きみのはまだ、完全に解けていないようですね…」
「っ!?」
ラクゥは気配のない音の発生源に即座に目を向けた。
そこには自分と同じような布袋を持った、銀髪に神官服の男が壁を背に立っていた。
「…嫌ですよ、神官さん。急に声を掛けられたら、びっくりするじゃないですか。それに言ってる事が良く分りませんよ?きっと人違いです」
「ふふっ…饒舌は本来の気性を隠す仮面ですか?僕を相手にそれは意味をなしませんよ?」
「えっ?…この人がいいの?…うん…分かった…」
ラクゥは布袋を解き、大鎌を地面に突き付けた。
「開っ!」
ラクゥは今までに開放したら、自分以外のすべてがスローペースで進み、相手を何が起きたか分からせずにただ切り裂くだけだった。今回もそうなるはずだった。
しかし…
「さっきも言ったでしょ?あなたのはまだ、完全に解けていない、とね」
ラクゥはいきなり、首を掴まれ壁に叩き付けられた。
そして時間速度が元に戻る。
「ぐぅ…」
「だから、開放も中途半端。僕が開放するまでもありませんね…」
そう言い、男の手がゆるまり、肺に新しい空気が満たされる。
「…?」
「別に僕は騎士じゃないですからね、捕まえる気はないですよ。君はまだまだ強くなれます。気が向いたら訪ねてください」
ラクゥは地面に膝をつく。
「あっ、そういえば、名前、まだでしたね。ヴェルナルド・シルヴァです」
「…ラクゥ」
「そうですか。良い名です。ではラクゥ、また会いましょう」
そう言い残し、ヴェイルは観客席へと戻っていった。
「ヴェルナルド…シルヴァ」

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