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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 180

「いやですっ!離して下さい!」
「なんだなんだぁ?俺がわざわざ親切にしてやってるってのにそんな態度でいいのかぁ?」
「ダメっすよリーダー!ここらじゃ人目が…」
ラカゥが手にした包みに耳を付けた。
「え…?うん…この人達でいいの…?弱すぎなんじゃないの…?あ…そうだね…お腹すいてるもんね…」
「あ?布っきれに耳付けて一人でブツブツ何を…」
リーダーが手を離すと、大鎌を包んでいた布がフワリと空中を舞う。
「うわっ!こいつあぶねぇ!」
慌てて距離を取る傭兵達。
ラカゥの手にしている折りたたまれたドス黒い刃と、何も読みとれないラカゥの表情に傭兵達は恐怖を感じた。
「ごめんなさい。この子がお腹すいてるから」
「え?」
ザッ、
大鎌の柄を地面に突き刺し、ラカゥは一言囁いた。
「開」
ガギンッ、
その一言で、彼女の手にした大鎌が本来の形に戻る。吸い込まれる様に刃を見る傭兵達。
「では、さようなら♪」
「え?」

「きゃぁぁぁぁ!」
会場周辺を見廻りしていたデイルの耳に、女性の悲鳴が届く。
「なんだ!?事件か!?このデイルにまかせろ!が〜はっ…は…?」
現場に急行したデイル。人混みを掻き分けた先にあったのは、まさに血の海だった。その血の海の中でオロオロしている騎士に声を掛ける。
「こりゃあひどいな…何があった?」
「ででデイル様!じ、実は…ふと気が付いたらこの有り様で…」
「ん〜?そんな訳ないだろう。これだけの人数が、『ふと』これだけの殺され方はされまい。さては…」
「めめめ滅相も無い!自分は真面目に警備を行っておりました!」
「ふ〜む…不思議だな…。大の男が数人、悲鳴一つ上げずに殺されたという訳か。一人ぐらいは目撃者がおらんのか?」

「見た。」
デイルの耳元で囁くルカの双子の妹ルイ。
「どぅわっ!急に現れるな!ったく、なんで人の隙を突きたがる奴ばっかりなんだ。それで、何を見たんだ?」
「なにやらもめてる男の集団と女一人。彼等を殺したのはもちろん女。獲物は大鎌。後は見えなかった。」
「大鎌か…また粋狂な物を使う奴がいる。んで、見えなかったってのは…」
「あっ、て思ったら殺されてた。」
「またそれか…」
「だって本当。」
「ふ〜む…謎だ…」
「多分。」
「ん?」
「時間干渉。」
「はぁ?」
「多分…」
「…ジンに報告するか。」
「任せた。」
「ルイはその女を追ってくれ。」
「それはできない。」
「な・ん・で・だ!?」
「あっ、て思ったら女はいなくて男達は斬り刻まれてた後だった。」
「まぁいいわぃ…そこの君、後の処理を頼んだぞ?」
「じ、自分でありますか!?」
騎士は血の海と遺体を見て声を裏返しながら聞き返す。
「君しかいないだろう。面倒なら応援を呼んでも構わん。後、気を付けるように。」
「は、はぃぃ!」
「ったく…ルイも警備を手伝ってやれ。」
「命令するな。私はサーシャ王直属の部下だ。」


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