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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 175


リグールは遠目からならば分らないだろうが、そわそわしていた。元来、人前に立つことに慣れていないため、大勢の視線を浴びると緊張してしまうのだ。
それでも会場全体を見渡せるバルコニーに立つまでは良かった。いざ、言葉を発そうと口を空けるが、なかなか声が出てこない。
(くっ…唇が乾く上、冷や汗まで掻いてきたか…)
すっと大きく息を吸い込む。
『…新国王サーシャ・オルグランの伴侶として…新しく王族に加わる事になりました…リグール・アーカイブです…』
途切れ途切れで話し始めるリグール。

『…まず、最初に…私はこの様な場に相応しい人物ではありません…しかし、これから王族に名を連ねるにあたり…国民の皆様に挨拶をさせていただきます…
それでは第一回ルクード武闘会を開催します!』
リグールはそう言い放ち、席へ戻って行った。

「なぁ…今のって開会の挨拶か?」
セガルドが前に居たランドルフに小声で話しかける。
「…どっちかと言うと自己紹介だよね」
「くっくっくっ…やっぱり兄上、トチ狂ったな」
「こらっセガル…笑わないの!」
「だってよセフィ…開会の挨拶に自己紹介って…」
周囲を気にしながらも、セガルドは笑い続ける。
リグールをよく知っている者はまだしも、一般の観衆はリグールの意味不明な演説に困惑している。

『皆様…ご静粛に!…
続きまして今大会のルール等をシュダ様よりお願いします!』


「ほらっ…お姉様、開会式が始っちゃってるよ…」
「分ってるわよ、イリス…」
ゼシカとイリスはシュダの大会説明を聴きながら、空いている席を探していた。
「…あら?」
「どうしたの?お姉様?」
「あれは…」
イリスの問いに答えずに会場の中心へと進んで行く。
「こんな前の方に空いてる席なんてないよ…」
そんなイリスの発言を聞き流し、ゼシカは進む。
その先には…
「ヴェイル様!」
「おや?ゼシカじゃないですか…」
そこには六体の全身鎧と盃を持ったヴェイル、テテュス、如月がいた。

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