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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 169

「お、ネルム〜♪」
セガルドは眠っているネルムの頬を指でつつく。
「デイルの奴が『等身大、ジュダ石像』とか言うのを大量に作成していたらしい。それを使って何かするんじゃねぇかな。」
「なるほど、流石に参加賞で渡すには悪趣味だ。石像を砕けない組は帰れってところか。」
クリスは納得した様子。
「ま、そう考えるのが無難だな。ジュダの旦那にしては自虐的な発想だぜ。」
「砕くのは簡単そうだけどやりづれ〜…」
「そこも狙いなんだろう。セガルド、しっかりな?」「粉々にしたら後で何か言われそうだ…」
「まぁ、壊すといってもほどほどにしとけば大丈夫よ、たぶん…」
セフィリアが苦笑いを浮かべ、助言する。
「たしかに粉々にしなきゃ大丈夫だよな?つーか、そうであって欲しい!」
「頑張れ、パパ。ネルムと応援しに行くからな♪」
「予選よりも難関に思えてきたが…しか〜し、俺は涙に震えながらでも殺るぞ。ネルムのためにも!」
セガルドはそう決心し、ヴェルナード邸を出発した。




セガルド達よりもいち早く会場へ到着したランドルフ一行は貴族席ではなく一般席へ向った。
「…ヴェイルさん、席を取っていると言ってましたけど…」
「ええ、最前列の…
ああ、あそこら辺ですよ…」
ヴェイルは人もまばらにしか入っていない観覧席の最前列を指差し、言った。
「いい席なのに、あまり人が入ってないわね…」
リリアンが疑問を口にする。
「本当だ…なんでだろ?」

近付くにつれ理由がわかった。
全身鎧が最前列の一角を占拠しているのだ。数にして六体の鎧達は身動ぎもせず立っている。
「ヴェイルさん、もしかして…」
「ええ、陣取りですよ。これなら普通の人は近付きませんからね〜」
そう言い、ヴェイルは鎧の内の一体に話しかけた。
「ご苦労様です、スフォルツェン…」
「お帰りなさいませ。ご主人様…」
鎧の中からにも関わらず、ソプラノボイスの高く美しい声で鎧は答える。
「この娘は僕のお気に入りでしてね、『生きた鎧(リビングアーマー)』なんですよ…」
「スフォルツェンです。どうぞよろしく。
お久し振りです。八咫様、滝夜叉姫様…」
スフォルツェンは鎧の頭部をわずかに下げ、挨拶をした。
「では、席に着きましょうか…もうすぐ始まるみたいですよ?」
そう言い、ヴェイルは手近な席に座った。
それに倣い、ランドルフ一行も席に座る。
「しかし少年、二千組を超えてんだろ。予選だけで何日も掛っちまうだろ?」
八咫がランドルフに尋ねた。
「ええ、予選の前に何かするらしいですよ?」
「…何か?」
「僕もそこまでは…」
「えっ…ランドって大会の企画会議に参加してたよね?」
「シュダ様やジンさんが会議の後、話しあってたのは知ってるんだけどね…」
「シュダ様にお兄様か…すごい嫌な予感がするんだけど…」

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