魔導志 168
「大陸中から我こそはって人達が集まって来てるのよ。予選を勝抜くだけでも大変よ」
「なんだ、セフィリアは弱気だな。大丈夫だ。セガルドの剣技はすでに人の域を超えている」
クリスも食事を済まし、談話に参加する。
「まぁ、私やリグールには勝てはしないだろうがな。普通の人間相手なら楽勝だろう…」
「うむ、その事なんだが…実はクリス、参加資格は人間だけじゃないんだ…」
シュダが思い出した様に言った。
「なっ!…それでは父上、魔族、天使、獣族や鬼族まで出て来るんですか?」
「もちろんだとも。できれば神族や竜族が参加してくれると盛上るんだろうがな」
シュダは気楽に言うが、この大会で人だけではない真の大陸最強が決まるのだ。
「ああ、もちろんゼシカ君やイリス君も個人戦に参加登録しておいたよ」
「へっ?」
セフィリアの横で黙々と食事を取っていたイリスが奇妙な声をあげた。
「いいの?本当に?」
「存分に力を奮ってくれたまえ」
「しかし、お義父様…すると参加者はどれくらいに?」
談話の輪に加わらず、朝食を掻込んでいたセガルドは空腹がおさまったのか、一息吐いて尋ねた。
「昨日の晩の時点で団体戦の申込みは終了したんだか、団体戦の参加者は総勢二千三百七組だったかな…」
「すると、父上。本選にはどのくらい進めるんですか?」
「優遇枠二十組でん〜…二百三十六組か…」
シュダが指を折りながら答えた。
「…優遇枠?」
「そう、優遇枠。武勇のある者や予選で目を見張る活躍を見せた者に本選の一回戦を免除にするのだよ。
クリスやリグール君、ジン君等だね」
「なるほど〜。派手に闘えば優遇されるって事ですね。」
「うむ、まぁ私は王国側の人間だ。君達に賞金をあげるつもりはこれっ……ぽっちも無いから覚悟してくれよ。」
「ふふ、楽しみにしています。父上。」
「俺…あんま楽しみじゃないかも…」
「ちなみに本戦の解説者は私とローファルだ。君達の戦いを観客にしっかり解説してあげるから安心したまえ。」
「ローファル?リリーの親父さんですか?」
「そう、あのローファルだ…。」
ジュダは何か嫌な記憶を思い出している様子。
「義父上〜…?」
「おっと、すまんすまん。」
「父上、そろそろ刻限です。会場へ。」
「おや、もうそんな時間かね。私は一足先に行くが、遅刻だけはしないでくれよ?」
「わかりました。」
ジュダが席を立ち、その場の全員が見送ると、セガルドはダルそうに話始めた。「しっかし、参加者多すぎないか?大会終わるまで何日かかるんだか…」
「父上の事だ、参加費だけせしめて、後は予選の前に試験的なもので減らしにかかるんじゃないか?」
「有り得る…。」
「有り得るわね…。」
「つかたぶんそれだ。」
ネルムを抱えたルカが会話に混ざる。