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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 166

「おいっ、こいつ魔導師だ!」
「ちっ…退くぞ」
「覚えてやがれ!」
「お前もだ…小僧」
傭兵は口々に文句を言い、人の輪から抜け出して行った。
「…少年、ありがとよ」
男がランドルフに礼を述べた。
「いえ、大した事は…仕事ですし」
そこへリリアンと如月が近付いてきた。
「もうっ…ランドったら一人で出て行っちゃうんだから…心配したじゃない」
「ごめんごめん…ただ大会もまだ始まってないのに、怪我人が出ても困るしさ…」
野次馬達の輪がいつの間にか解けていた。
「ありがとね、ぼく…」
女が話しかけてくる。
「ぼくって…もう十七歳なんですけど…ランドルフです。そして彼女がリリアン、そして彼女の式神の如月です。えっと…」
「八咫だ。獣族で、種族は烏。彼女は…」
「滝夜叉姫です。姫って呼んでね♪
国は違うだろうけど、そちらのお嬢ちゃんと同じ鬼族なのよ」
それぞれの自己紹介を終えた。
「…さっき、急いでる様なこと言ってましたけど…」
ランドルフが尋ねる。
「そうなのよ〜。一昨日の夜にいきなり、ルクードで行われる闘技会に申し込んでおいたから今日の早朝までに到着するようにって上役に言われちゃってね…」
「しかも、その上役ってのが一癖も二癖もある人でな」
八咫と滝夜叉姫がお互いの顔を見合わせ、不満を洩らす。「大変ですね…」
「…八咫さん達は何の仕事をしてるんです?」
リリアンが興味深げに尋ねた。
「ん〜、あんま口外できないんだけどね…」
「一言で言えば宮遣いだな…」
「休暇は取れないし、気苦労は絶えないし…給料が安かったらとっくに辞めてるわ。
その上、上司はいけすかない変人だし…」

「…すみませんね、いけすかない変人で…」
「「…!」」
その場にいた者達の視線が一ヵ所に集中する。
そこには、ヴェイルとテテュスがいた。
「げぇっ」
「げぇっ…はないでしょう。これでもあなた達の上司ですよ?
おはようございます。ランドルフ君」
「…おはようございます」
ランドルフは昨晩の事が気にかかってる様だ。
「大丈夫ですよ。昨日も言ったでしょ?もう、あなた達に対して敵意は無いって…」
ヴェイルがにこやかに言う。
「…ヴェイルさん。あんた、この少年達と知合いだったのか?」
「ええ、ちょっとしたね…
それよりも八咫、姫…待ち合わせの時刻は早朝って言いましたよね?
もう、陽がイイ感じに昇ってるんですけど…今って早朝って言いますかね?」
尚も笑みを崩さず尋ねるヴェイルだが、八咫と滝夜叉姫の顔がひきつる。
「…その〜、アレなんです。ちょっと、ごたごたがありまして…」

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