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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 151

「ふぅ…ジンさん、こっちの魔法障壁、張り終わりました!」
そう言うランドルフの目の前には延々と壁に幾何学的な文字が書き連なっている。
「…では一旦、作業を中断してお昼にしましょう」
ランドルフが昼食を食べているとジンが話しかけてきた。
「食事中に悪いんですが、明日からの大会では極力、強い魔法は使わないようにしましょう」
「何故ですか?」
「…君は元々、高い魔力を持っています。だから、高等な魔術を難なく使えます。しかし、明日の大会のような少人数での戦闘ではどれだけ短時間で魔法が放てるかが勝負の分れ目なんですよ」
「…つまり、簡単な魔法を素早く使えば良いんですよね?」
「ええ、なので『相手に最も有効な魔法を短時間で使う』訓練のために、貴方を大会に参加させたんですよ」
「わかりました。この前、教わった禁術などは使わないようにします」
「…まぁ、相手を無力化するのが目的なので眠らせる程度で十分ですよ」
「はいっ」
「…それでは作業を再開しましょうか。後少しで魔法障壁は張り終わりますね。これが終わったらランド君は帰っていいですよ」
そう言い残すとジンは会場の奥へと向った。
ランドルフは残り少しの作業を早々に完了するために気合いを入れた。
「ランドルフ。」
後ろから聞き慣れた声で呼ばれ、ランドルフは振り返った。
「リグール…さん?」
戸惑うランドルフ。
「どうした?」
「あ…いや…」
それもそのはず、リグールの両腕、両足、背中にまでウルスの孤児達が嬉しそうにしがみつき、肩車されている子供がリグールの顔を歪ませて遊んでいる。
「ジンふぁ、こら、止めろ。ジンはどこにいんぅ?ぺっぺっ、口に手を入れるな。ジンはどこにいふ?止めろと言ってるだろ。んぶ、」
何度言い直そうとしても子供に邪魔をされ、ランドルフは笑いを堪えるのが大変だった。
ランドルフは、意を汲み取り、奥にいると教えると、リグールは子供達を落とさないように歩き出す。
「なんだかんだで、やっぱりいい人なんだなぁ…」
微笑みながら見送るランドルフ。
奥からジュダとジンの大きな笑い声が聞こえてきたが、ランドルフは真面目に作業を再開した。
「わははははは!大人気だねぇ!」
「いつの間にそんな格好いい装備を手に入れたんですか?ご丁寧に兜まで…ぷっあははは!」
「ふん、なかなか骨のある奴ばかりでな。宿を出てからずっとこの調子で困っているんだ。ジン、取ってくれ。」

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