魔導志 16
「ふふ、正解よ。私の最強呪文をあなたはどう捌くのかしら?」
「あんたぐらいのレベルならこの盾で十分に防げるよ。負けたらセガルドって奴をよんできてよ?」
「わかったわ。防げなかったらあなたの負けでいいわね?」
「かまうもんか。ほら、どうぞ。」
「…」
セフィリアは自らの魔力を限界まで引き出し、両手を高く掲げた。
「爆炎魔法ヘルドラル!」掲げた両手の上に、燃え盛る巨大な火玉が現れ、ドラゴンの形を成す。
「グォォォォ!!」
「な、セフィ様!これほどの魔法を!?」
「げっ!やっばぃ!盾で防ぐなんて言わなきゃよかった…」
「いくわよ!」
「ガァァァァァッ!」
強大な炎の龍が、イリスを目標に放たれた
轟音と共に、イリスの後ろで大爆発を起こす
「きゃぁぁぁぁぁ!…アレ?」
「セフィ様、お見事でしたわ。イリス、あなたの負けよ」
「へ?なんであたしを狙わなかったの?」
「これから使役するあなたに、怪我はさせられないわ。」
「…ふんっ!」
「イリス!怒るわよ!!」「…はぁぃ…。セフィリア様、絶対の忠誠と服従を誓います…」
「よろしい。ではあなたに最初の命令をするわ」
「なんですかぁ?」
セフィリアはニッコリ微笑み
「料理を手伝って♪」
…その時だった。
「おぃっ!なんだ今の爆発音は!?敵襲か!?」
セガルドが全裸に紅月を持ってコテージから飛び出してきた。
「ありゃ?美女が三人いる…セフィとゼシカと………誰だ?俺がのぼせたのか?」
「…いやぁぁぁぁ!変態!ケダモノ!お姉様ぁ!」
「ご、ご主人様…」
イリスはゼシカに飛び付き、ゼシカは真っ赤になりながら顔を手で覆っていた。「セガル、食事ならまだよ。早く服を着ないと風邪ひくわ」
セフィリアだけが冷静だった。
4人はテーブルに腰掛け、魔族の使役についてと、イリスを使役するまでの経緯を説明
「…なるほどな。俺が風呂で寝ている間にそんな事があったのか…。イリス君、視線が痛いんだが…」
イリスは、セガルドを睨み付けている
「イリス!セガル様に失礼よ!」
「あ、いや、怒らなくてもいいんだ。」
「…」
「これからの事なんだけど、セガルと私はもう合格間違いなしだわ。残り6日、どうするの?」
「この洞窟の奥には、お宝でもないのか?」
「既に、人間が深くまで探索された後ですので、あまり期待はできません」
「う〜ん…じゃあ何もする事がないなぁ…」
「当面は現状維持ね。」
「えぇ、わかりましたわ」「…はぁぃ…」
セガルドは紅月を鞘から抜き、剣の手入れを始めた。細い刀身が血のように紅い剣。なにやら不思議な感覚になる。
「しかし、ヘルドラルを唱えるとはなぁ…さすがは天才って事か?」