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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 143

「彼の魔力を考えると人並みの魔法程度ばかりじゃ欲求不満になると思いましてね。魔力コントロールは上手な方ですから大丈夫ですよ♪」
クリスは溜め息混じりでジンを見る。
「…まぁいい。その賭けを受けてやる。大金を無駄にしてマリーに責められるがいいさ。それから…」
「?」
「焼き払ったはずの魔導志が何故存在している?」
クリスのこの一言で、ジンの笑顔が一瞬にして嫌悪に満ちた表情に変わり、抑えきれない感情が殺気となり辺りを漂っている。
「クリス…貴女がどうしてその事を…?」
「詳しい経緯は知らないが、セガルドとランドルフ君は大会後に魔導志を追うつもりだぞ。」
「そんな…」
ジンが落胆した様子で椅子に座り込む。
「彼は…ランド君は…あの化け物の器になるんです…」
「あの化け物?」
「そうです…私の魔力で片鱗だけを解放した…貴女とリグールとアリシスでやっと封じたあの…」
「…」
「私は…私は…彼を殺す事ができない…」
「…わかっている。」
「この世界に生きる全てが滅亡するんです…」
「大丈夫だ。」
「貴女は知らないから言えるんです!!」
「知っているさ。」
「何を!?」

「お前があの日からずっと苦しみ続けている事、そんなお前の姿を見て同じ苦しみを味わっているリグール、そして…」
「…?」
「彼等はそこまで弱くないって事だ。お前のした過ちは、もう過去の事…。それとも、お前は弟子をそんなに軟弱に育てているのか?」
「…」
「その話が事実でも、私はセガルドならランドルフ君を救う事が出来ると思っている。セガルドもまた、ランドルフ君に救われる事になるだろう。お前とリグールのようにな。」
「…」
クリスは、ジンに背を向けて、その場から離れようとする。
ジンは呟くようにクリスを呼び止めた。
「クリス…」
「なんだ?」
「感謝します…」
「ふ、賭けを忘れるな?勝つのは私だが。」
ジンの頬に流れる一筋の涙に気付きながら、クリスは振り返らずにその場を後にした。


その頃、ヴェルナード邸では…
「入るわよ、セガル。話しって何?」
「おお、来たかセフィ。明後日の大会の団体戦、一緒に出ない?」
きょとんとするセフィリア。
「…私はいいけど、セガルはいいの?クリスさんとかルカさんだっているのに…」
「…ああ、団体戦は出ないらしい」
「あら、二人とも出たがると思ってたのに…でも、私にとってはうれしい事だわ。感謝しなきゃね…」

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