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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 142

その時、丁度店主が二階へ上って来た。
「何にします?」
ヴェイルはメニュー表を指差し言った。
「これを三つと…後、葡萄酒のいいヤツを下さい」
「…了解しました」
店主は階下へ戻って行った。
「そういえば、ヴェイルさんは式神と契約してないんですか?」
「いえ、一人だけ契約してますよ。ただ、僕の仕事の手伝いで今は近くにはいませんが…」
「…メリル…貴女は契約する気はないの?」
「違うんですよ、アリシス様。私が受けた卒業試験はBランク以上のアイテムの回収でしたから…機会がなくて
アリシス様こそどうなんですか?」
「…私はいいの…性に合わないから…」
アリシスは溜息をつく。
と、急にヴェイルは深刻な顔で尋ねた。
「…メリルさん」
「はい。なんですか?」
「貴女はお酒、強いですか?」
「ふぇっ?」
虚を突かれたメリルはおかしな声を洩らした。
「(真剣な話かと思って緊張しちゃったじゃない)ええ、人並以上には…」
「それは良かった。アリシス姉さんは弱くてね。葡萄酒を一人で呑まなきゃならないところでした」
「アリシス様は弱いんですか…」
「ええ、とても。昔はほんの少しでふらふらしてましたからね…」
アリシスはむっとする。
「…私、そこまで弱くはないわよ…貴方が異常なだけで…」
「僕、異常ですか?」
「…ええ、異常よ…いろいろと…」
「はぅ…」
ヴェイルは苦悶の声をあげる。
そこに食事が運ばれてきた。
三人はしばらく他愛ない会話しつつ、目の前の食事を片付ける。


その頃、城ではジンとクリスが会っていた。
「ジン、明後日の件について話しがあるらしいが…」
「ええ、賞金についてです。国は総力を挙げて賞金を回収しますが、最大の難関は貴女なんですよ」
「…それで、私に八百長でもしろと?」
「いえいえ…ただ、貴女が優勝した時は賞金の8割、できれば9割を国に返してくれませんかね?」
「フン、私には何の見返りも無いのにか?」
クリスは挑発してみる。
ジンは鋭く切り返した。
「そういえば…セガルド君、騎士団を除隊しましたから幾人もの女性と結婚はできない筈なんですが…」
「うぐっ…」
「ふふっ…そこで提案なんですが、クリス。貴女が協力してくれたら、セガルド君の件はなんとかしましょう。どうです?」
「…本当だな?」
「はい、約束しましょう♪」
「その笑顔だけは昔から信用できない。」
ジンは嬉しそうに微笑んでいる。
「そうそう、私の弟子であるランド君と、貴方の弟子のセガルド君、どちらの方が強いんですかね。」
「何が言いたい?」
「ふふ、私と個人的に賭けませんか?貴方が優勝した際の賞金の取り分、300万ゼニを賭けて。」
「やめておけ。ヴェルナードの秘剣の極意に魔法の類は通用しない。勝つのはセガルドだ。」
「わかりませんよ♪彼には私の兵法と一つだけ禁魔法を伝授してありますから。」
「お前な…教えていい事と悪い事があるだろうに。」

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