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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 141

「はぁ〜やっと終わった」
「…メリル…行きましょう」
「はいっアリシス様」
そして二人は城を出てルクードの歓楽街へ来た。
騎士団の鎧を着た二人の女性は目立った。
「…あの〜アリシス様、ここって大丈夫でしょうか?」
「…何が?」
「だって鎧、着たままですし、治安悪そうですよ?」
「…大丈夫…ここはルクードの…盗賊ギルドが仕切ってるから…私、盗賊ギルドには顔が利くの…」
「そうなんですか…」
歩く二人を歓楽街の客であろう人々がじろじろ見る。
(本当に大丈夫かなぁ)
貴族出身のメリルは不安になってくる。
「…着いた」
一軒の店の前でアリシスは歩みを止めた。
看板には『鳳凰の翼』と記してあった。
「…ここは…シルヴァ家の者が…集まる時によく使うの…」
「へぇ〜」
そして二人は店内に入った。内装は一見、雑貨屋の様にも見えるが、三組ほど客が居るところを見ると酒場らしい。
(流行ってないのかな?)
メリルは疑問に思った。
アリシスはカウンターに向い、店主だろう人物へ話しかける。
「…待合せてるのだけど…」
「アリシス様!久しぶりだねぇ」
五十は超えてるであろう男は、日に焼けた顔に人懐っこい笑みをうかべた。
「待合わせってヴェルナルド様とかい?」
「…ええ…」
「上で待ってるよ」
男はそう言い、上を指差した。
メリルは視線を上へ移すと、どうやら二階があるようだ。
「あの嬢ちゃんは?」
メリルを見ながら男は言った。男の視線が針のように鋭くなる。
「…連れよ…」
「そうかい」
すでに男はメリルを視界に入れてない。
アリシスは店の奥にある階段へ向った。メリルは置いて行かれない様、小走りで着いて行く。
「彼…今の盗賊ギルドのギルドマスターよ…」
「えっ?うそ…」
メリルは階段を上りつつカウンターの男を見た。
(たしかに…あの目線にはビビったけど…)
階段を上り終えると…
「いや〜遅かったですね♪」いくつかある六人掛程度のテーブルの一つにヴェイルがいた。
「…やることが多くて…」
「分りますよ。宮遣いほど割に合わない仕事はないですからね」
アリシスはヴェイルの向に座った。それに倣いメリルも座る。
「何か頼みます?」
ヴェイルはメニュー表を勧めてきた。
メリルはメニュー表を見た。
「じゃあ、この『今日のおすすめコース』で…」
「…私も…」
「わかりました。マスター、注文お願いします!」
ヴェイルは階下に向って叫んだ。
「あっ…お酒、飲みましょうか?」
「…そうね…明日は仕事も無いし…」
「ええっ…私、聞いてないですよ?」
「…明後日の大会の…準備があるから…その手伝い…」
「…それって、いつ発表しましたか?」
「…今朝の定例会で…」
「あ〜、昨日は夜勤だったから今日は昼からだったんだ」
「…ごめんなさい…うっかりしてて…私が伝えるのを忘れてた…」
「酷い…」
メリルは泣きたくなった。

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