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魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔導志 139

「えと…僕達、出ていた方がいいですか?」
「…いや、君にも聞いてもらった方がいいだろう…」
ランドルフはマウアとゼシカの乱闘を意味しての発言だが、クリスは取違えたらしい。
「…で、クリス。話しって何だ?」
セガルドの問いにクリスはどこから話せば良いかしばらく思案した。
「……今迄、私とルカはお前の仇を討とうとあの女を追ってたんだが…」
「そしたら、邪魔が入って来たんだよ。そいつが言ってたんだけど、セガルド…お前、あの女と契約を交わしたって本当かよ?」
ルカはセガルドに詰め寄った。
「け、契約なんて大層なもんじゃなく、約束と言うか…ってルカ、顔が近い近いっ!」
詰め寄るだけでなく、セガルドの顔を両手で掴み、これでもかと言う程に顔を近付ける。
「うるせぇ、あんにゃろ…俺の可愛いセガルドを…」「おや?私のセガルドでもあるのだが…」
「と、とにかくあんな女は放っておけばいいんだよ。俺はサイから魔導志を奪って…」
それを聞いたクリスが大声を上げてルカを押し退ける。
「なっ!魔導志だと!?セガルド、なんで君が魔導志を知っている!?」
「え?俺はあの女から…」
「おぃおぃ、なぁに大声上げてんだよ。魔導志っつったら俺ん家にあった汚ぇ書物だろ?そこのランドルフにやったやつだよな?」
ルカは椅子に腰掛けテーブルに肘を付き、手をヒラヒラさせている。
「え、えぇ。僕がルカさんに譲って頂いて…」
「それで今はどうなってるっ!?」
「ぼ、僕がジンさんに渡して…今は…」
「ちょっと待った。なんでクリスが焦るんだよ。魔導志って本はそんなにやばいのか?」
「あ…いや、すまないな。あれは完全に燃やしたと思っていたんだが…」
クリスは頭をかかえた。
「あの〜クリスさん…もしかして非常に危険なのでしょうか?」
「…セガルド、お前はどの様なものかも知らずに引き受けたのか?」
セガルドを睨みつけるクリス。
「さっき、ランドから聞いたんだけど…持ってる奴がしょぼかったから、別に問題は無いと考えてたんだけどな。やっぱりまずかったか?」
クリスの動揺ぶりに不安になったセガルドは尋ねた。
クリスは溜め息を一つ吐いてから、静かに話し始めた。
「君達が既に魔導志に関わってしまっているなら、知っていた方がいいだろう。あの本はな、ジンから五感の内の嗅覚と子孫を残す能力を奪い、リグールの背中に一生消える事の無い大きな傷痕を刻みつけた最低最悪の代物だ。」
「(やっぱり…あの話はジンさん本人の話だったんだ…でも子孫を残せないなんて聞いてないよ…)」

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