PiPi's World 投稿小説

魔導志
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 106
 108
の最後へ

魔導志 108

フェルミと名乗る女性は、金色の瞳に褐色の肌。衣類は借りたようで、人化した竜族人は人と区別がつかない程だ。そして、頬を痛そうに撫でている。
「外の飛竜の群れは?」
「彼女達です。」
フェルミの後ろに総勢10名の女性がセガルドを睨みつけている。
「…やんのか?」
「セガルド!」
「じょ、冗談ですよ。」
フェルミは溜め息を吐いてから話を続けた。
「先日、我が村で長が亡くなりました。竜玉が急激に反応し我が竜族に新たなる道を指し示したのです。」「それは?」
「完全なる人との共存。」
「もう千何百年と交流がなかったに急な話ですねぇ…。人里で暮らしたいと?」「いえ、我らには我らの村があります。我らの存在を認識していただければそれで結構。」
「理由が定かではありませんね。」
「竜玉の導きです。」
「前王は邪悪竜を生み出す程に国を乱した。サーシャ…様なら大丈夫って事じゃないのか?」
「それはわかりません。結界を解くのであれば、竜は負の影響を受けやすくなります。共存ではなく、アルトバル王が再び国を乱すなら大規模な邪悪竜の群れが大陸を滅ぼす。そんな脅しに近いかと…」
「そうかも…しれませんね…」
フェルミは難しい顔で考え込む。ふと、リグールを見ながら問い掛けた。
「先日の強い力を竜玉が察知しました。竜狩りの剣を所持しているのは貴方ですね?」
「いえ、そこにいる弟です。セガルド、竜狩りの剣はどうした?」
「多分、家にあります。」「持ち歩け!」
「クスクス、リグールも時々どこに置いたか忘れていたじゃないですか。」
「…ジン、要らん事は言わなくていい。」
「この雌の大事な顔を殴る最低男?」
「けっ、雌雄の区別がつくかっての。」
「このつぶらな瞳を見ればわかるでしょ!竜族の威厳を示そうとしたのに、あんたのせいで失敗よ!」
「知るか。あ〜ぁ、竜族の村を探しに行こうかと思ったけど、やっぱやめようかなぁ。」
「セガルド君、剣は示したんです。何か意味があるはずですよ。」
「えっ!剣が村の位置を示したんですか?」
「それが何か?」
「…初代アーカイヴの大器って事だ。」
「リグール!その話は!」ジンが珍しく取り乱しながらリグールを止めようとする。
「どうせ知る事だ。セガルド、お前は人か竜族か…」
「やめなさい!リグール!その事は…」
「サーシャ、静かにしろ。いいかセガルド、これは伝承だ。真偽は定かではない。が、貴様は、人か、竜か、どちらとして生きるかを選ばなければならない。」「は?俺は人ですよ?」
「だが違う。ジンの仮説だが、おそらく貴様は竜に選ばれた者で…」
「待って!選んだのって誰?」
「…あなた方の祖先、古の竜でしょう。」
「つまり俺は何?」
「それが知りたいのなら、剣の導きに従え。」
「はぁ、旅立ちは早い方がいいんですかね。」
「好きにしろ。ルクードでゆっくりしててもいい。」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す