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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 10


「・・・っ、そうだ!」

そこまで考えて、誠は思い出す。
この屋上に逃げてくる途中でくっついてきた、もう1人の少女のことを。
そうだ。彼女もいれば、もっと手早くカギを探し出すことができるじゃないか!
そう思った誠は、その女子生徒の手を借りるべく、幸福の余韻に浸る彼女の肩をつかんだ。

「ちょ、起きて!起きてくださいっ!
 ・・・ええい、いつまで寝てるんだ、さっさと起きろっ!?」
「ふにゃあっ!?」

いくら揺すっても起きない寝坊助に、業を煮やした誠は敬語を使うことも忘れて女子生徒を引っ叩いた。
心地よい夢の世界からいきなりたたき起こされた生徒は、傷む頭を押さえて目を白黒させていた。

「い、いきなり何するんですかっ!?」
「何するもどうするもあるかっ!?
 こっちは今この時を生き延びるだけでも必死だってのに、何をグースカ眠ってんだっ!?」
「か・・・河原くん、落ち着いてっ?!」

いろいろ追い詰められてブチキレた誠に、弥生はあわてて止めに入った。
女子生徒のほうはいきなり乱暴にたたき起こされた挙句にキレられて、子猫のように震えていた。

――――

「か、河原くん。もう、大丈夫?」
「ふーっ・・・。すみません、先生。
 ちょっと混乱していたみたいです」

それから数十分後。
弥生の懸命のとりなしによって、誠はようやく落ち着きを取り戻していた。
しかしキレていたときの恐怖は、すっかり女子生徒に刷り込まれてしまったらしく。
彼女は弥生の後ろに隠れ、怯えた様子で誠を見ている。

(あ〜、すっかり怖がらせちまったか。
 ・・・まぁ反抗的になられるよりはいいか)

その様子に誠はそう判断すると、さっきからずっと気になっていることを確認することにした。

「・・・で?アンタ、いったいどちら様?
 何でオレに襲いかかってきたの?」
「私…」
弥生の後ろで身を縮こませた女子生徒が答えた。
「2年の狭山美樹っていうんだけど…
 貴方を襲った理由は…理由は…あれ?…わかんない…」
「…わかんないって。」

美樹の様子からすると嘘をついているようにも見えない。
本当に訳も分からぬまま異性に襲い掛かったということか。

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