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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 60


人間が欲望に、特に男の場合は性欲にあらがうことがどれだけ大変なのかは、同じ男である誠もよくわかる。
よくわかるが・・・さすがにTPO(時と場所と場合)を考えてもらいたい。
おかしくなった女たちを下僕のようにしてしまう力。
どれだけ出しても尽きることのない、尋常じゃない量の精液。
どう考えたってまともな人間にこんな力あるわけがない。
もう少し自分の身体に起きた異変を真剣に考えてもらいたい。
誠は心の底からそう思わずにはいられなかった。

「な、なあおいっ!?し、質問には全部答えてやったろ!?
 いいかげんオレを助けてくれよっ!!」
「ん・・・?あ、ああ・・・そうだったな」

必死に助けを請う祐司の声に、誠はようやく現実への帰還を果たす。
誠は祐司を磔にしたベッドの裏に回ると、何のためらいもなくベッドを蹴った。

「ひッ・・・!?」

誠の一撃でベッドが大きく前に傾き、祐司が悲鳴を上げる。
だが今度は助けない。助けさせない。こんなヤツに助ける価値なんてない。
彼はそう判断していた。
だがこのまま死なせるのも何なので、落ちる寸前の祐司に誠はなぜ自分が殺されるのか、手向けの代わりに教えてやった。

「―――他人の女に手ェ出しといて許すわけねーだろ、バカ。
 死んであの世で後悔しやがれ」

その直後、祐司は絶望の悲鳴を上げながらベッドごと奈落の底へと落ちていった。
地面に落下した音は聞こえなかった。ただ耳障りだった悲鳴だけが消えた。
それですべて終わりだった。
誠としては憎いアイツの死に際の顔を見れなかったのはちょっと残念だったような気もするが、あんな人間のクズの顔を覚えてたってしょうがないと思い直し、さっさと忘れてしまうことにした。
生まれて初めて、人を殺してしまった誠。
だが不思議と後悔はなかった。むしろ汚らしいものを処分できたとある種の爽快感すら感じていた。
世界がおかしくなる前とは明らかに変わったものの考え方に、誠はやはり自分もどこかおかしくなっているのかもしれないと、それだけ思った。
他人の女に手を出した不届き者を処分した誠が次は何をしようかと振り返ると。
そこには最愛のご主人様を失い、絶望一色に染まった下僕たちがすすり泣いていた。
突き落とすまでは誠の精液を浴びて苦しんでいた忠臣たちであったが、さすがに主人が死んだとなればその痛みも忘れてしまうものらしい。
あるものは己の無力さを呪い、またあるものはうつろな笑顔を浮かべてご主人様の後を追った。
その姿に誠の心が初めてチクリと痛んだが、特に何かしようとは思わなかった。
自分はそれだけのことをしてしまったのだから。
誠はその後、美樹たちに命じてミイラとなってしまった弥生と月を回収。
ホテルを後にした。
新しく仲間にした女たちは、すべて車の運転ができるようだったので移動には何の支障もなかった。
次の目的地はもう決まっていた。
ミイラになった弥生と月を葬る、見晴らしのいい場所。
それが次の目的地だった。
弥生たちを葬る場所を見つけるまでの間の移動はたいへんだったが、その労力に見合うだけの収穫もいろいろあった。
おかしくなった女たちは人通りの多そうなエリアを徘徊していることが多く、都市の郊外や自然豊かな場所にはあまりいないということ。
もともとおかしくなった連中は男(精液)ほしさにうろついているわけだから、男のいない場所にいないというのも納得である。
またおかしくなった女たちの中には墓場の下で眠っていた死人もいる、ということもわかった。
移動の途中で通りがかった墓地の墓石が大地震でもあったかのように倒れていたり、人間がすっぽり入れるような大きな穴が開いているのを発見したのだ。
近くで調べたわけではないのだが、状況から見てそう考えるほかない。
人間が風船のように膨らんで、中から女の子が出てくるなんてマンガやホラー映画のような光景を目の当たりにしたのだ。
これまでの常識で物事を考えていては命がいくつあっても足りない。
用心するに越したことはないだろう。
加えておかしくなった女たちの中には、まだ年端もいかない幼い子供がいることも確認された。
その胸は年齢に似合わぬサイズで、暴れるたびにブルブルと暴れまわっていたが。
また町をうろついている女たちは動物みたいに水や火を極端に恐れているようだ。
おかしくなった連中から逃げ回っていた時、たまたま交通事故か何かで炎上している車のそばを通ったのだが、彼女らは誠たちがそこに近づくといったん追うのをやめて遠巻きにこちらの様子をうかがい始めた。
また橋を通ったとき、水辺にいた女たちが誠の存在に気づいていながら、川を渡らずにキイキイ文句を言っていた。
人間の言葉すら話さずに襲ってくるような連中だから、頭の中も動物並みになっているのかもしれない。
またおかしくなった女たちの中には明らかに子供と思われる小さい子供もいた。
連中の仲間入りしているだけあって、小さな身体に不釣り合いな大きなおっぱいを揺らしていたが、そのすばしっこさ、運動能力はおかしくなった大人たち以上。
腕力こそ大したことはないが、十分に気をつけねばならない存在であった。

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