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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 58


扉を開けた林原に続いて誠たちも中に入ると。
そこには酒池肉林としか言いようのない宴が、ものすごいニオイとともに飛び込んできた。
おそらくもとはスイートルームであったであろうそこは若い女で埋め尽くされていた。
どの女もみな衣服をまとっておらず、恍惚とした表情で全身を白く汚している。
それがいったい何を意味するかなんて考えるまでもない。

「お〜ぅ、よくやった〜。そいつらこっちに連れてこ〜い」
「は・・・はっ!」

部屋の奥にいるであろう、『ご主人様』の許可を受け、部屋の奥へと進むと。
そこにはどこの王族貴族でも体験したこともないであろう堕落した楽園が広がっていた。
部屋の床は入り口と同じように女で埋め尽くされ、部屋の半分を占拠しているベッドの上では1人の男を中心に何人もの美女・美少女達がかしずいている。
男は年齢20歳くらい。中肉中背で全裸でいること以外、特徴らしい特徴はない。
アイドルや俳優のようなイケメンでもない。いわゆるどこにでもいる『普通の男』というヤツだった。
そのまわりではある女は男に口移しで食事を運んだり、手にした大きな羽のうちわで風を送ったり。
またある女はその見事な乳房を枕代わりに、男の頭を受け止めていた。
何とも典型的なハーレムの光景に誠たちは声も出ない。
美樹たちの場合は驚き半分、あこがれ半分。
誠の場合は驚き半分、あきれ半分といった感じで、それぞれ違いはあったが。
そんな中、女から口移しで渡された食事を飲み込み、ようやくこちらを見たその男は誠の姿を見て不快そうに眉をひそめた。

「おいおい、な〜によけいなモノ、連れてきてんだ〜?
 オレぁ女どもを連れてこいって言ったよなぁ〜?」
「も、申し訳ありません・・・。そ、その・・・女たちが男も一緒でないと嫌だと駄々をこねまして・・・やむを得ず・・・」
「アンタがこいつらの親玉か?
 話の腰を折って悪いが、聞きたいことがある!」

『ご主人様』の剣幕に尻すぼみになって言い訳する林原を遮り、誠が自分以外の男に質問をした。
その第一声は葵たちの予想を裏切る、そんな質問であった。

「おまえ、オレたちの仲間を2人、捕まえているだろう!?
 そいつらはどこだっ!?」
「ま、誠様っ!?き、聞きたかったのはそれじゃ・・・?」

てっきりどうして生き残れたのかとか、この異常事態について何か知っているのかと聞くとばかり思っていた美樹たちは驚きの声を上げた。
それと同時に彼女たちの胸の内から熱いものがこみ上げる。
何だかんだと冷たい扱いを受けていた彼女たちだが、やはり自分たちのことを思っていてくれたのだと。
だがそんな温かい感情も『ご主人様』の返答で一気に凍りつくことになる。

「おまえの女ぁ?・・・ああ、あのミイラになっちまった女たちのことか。
 まったく気味の悪い女たちだったぜ。
 オレのモンにしてやろうとねじ込んでやったらいきなりミイラになりやがって・・・。
 萎えちまったからその辺に捨てちまったよ」
「「「「・・・!!」」」」

そう言って男がかざした手の先には。
うずたかく積まれた女の山に交じって干からびたミイラのような手が1本のぞいていた。
それが弥生か月(ゆえ)のなれの果てだと理解するのにそう時間はかからなかった。

「ったく、ひさしぶりに人の言葉がわかるいい女を見つけたと思ったら、とんでもない化け物だったぜ。
 コイツは後ろにいるおまえの女と、おまえの命で償ってもらうぜ」

自分が悪いなどとはつゆほども思わないどころか、その責任を誠たちになすりつける最低の男。
その言葉に誠はなぜか言いようのない怒りを感じていた。
もともと彼女らは何かあったときのボディーガード兼捨て駒として連れてきていた女である。
車の運転ができるのは弥生だけだからと助けに来たが、本来そこまでしてやる義理など彼にはない。
しかし。誠はそんな矛盾を無視してここに来た。
そしてミイラになってしまった彼女らを見て激昂している。
自分でも理解できない怒りに、誠は少なからず困惑した。
怒り狂う誠の様子に危険なものを感じたのであろう。
林原は誠たちを見て、顔色を変えて『ご主人様』に向かって叫んだ。

「―――!ご主人様っ!お逃げくださいっ!
 コイツらは―――私を脅してここまで案内させてきたんですっ!!」
「・・・んぁ?」

林原の必死の叫びを『ご主人様』が理解するより先に、誠は復讐に走っていた。
彼は白い液体の入ったペットボトルを開けると、その中身をあたり一帯にぶちまけたのだ。
それに少し遅れて美樹や葵、白(びゃく)たちも同じように白い液体をぶちまけた。
飛び散った液体はそこらじゅうにいた女たちの身体に降りかかる。
すると・・・。

「ヒイイイィィィッ!?」
「うああぁぁぁッ!?」
「ぎゃあああぁッ!!」

堕した楽園は阿鼻叫喚の地獄と化した。
白い液体を浴びた女たちの身体が、次々とミイラのように干からび始めたのだ。
そうなっていないのは美樹たちと、『ご主人様』を見限り誠についた女たちのみ。

「な、なななっ・・・!?」

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