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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 57


ぬちゃっ・・・。

その時だ。恐る恐るミイラ化した肩をつついていた誠の指に何やらねばねばしたものが触れた。
驚いた誠が思わず指をひっこめ、そちらを見てみると・・・その指には白い液体がついていた。
よく見るとそれは指だけでなく、誠の手のひらにべったりとついている。
どうやらミイラ化した肩についたそれは、誠が肩をつかんだ時についたものらしい。
鼻を近づけてにおいをかいでみると、栗の花のような独特のにおいがしてくる。
そのにおいに誠は心当たりがあった。精液だ。
先ほど美樹たちが捕まえた3人を抱いた時、身体に振りかけた精液が何かの拍子に手についたらしい。
突然ミイラ化した女の形をした何か。
その肩と誠の手についた精液。
それに何の関係もないと切って捨てるほど、誠は空気の読めない男ではなかった。
彼は頭の中にある仮説を立て、手についた精液を捕虜の女の、まだミイラ化していない部分に伸ばしてみる。
すると・・・。

「あぐっ・・・!?」

パキッ・・・!パキパキパキッ・・・!

誠の精液に触れた捕虜の身体がみるみるうちにミイラ化していく。
痛みを伴うのか、あれだけ気丈だった彼女は涙を浮かべて悲鳴を上げる。
そこで今度は身体についた精液をとってみる。
すると数分後、捕虜の身体はゆっくりとだが瑞々しい肌を取り戻していった。
一連の変化を見て、誠は理解した。
一緒に見ていた美樹たちもそれを理解し、恐ろしいものを見るかのような目つきで誠を見る。
理由はわからないが、この女には誠の精液は毒みたいなものらしい。
いや、キスしただけでミイラ化したから、もしかしたら体液そのものが毒なのかもしれない。
触ったくらいなら、拭き取ることで回復できるようだが・・・。
誠は戦慄した。
それは目の前の女に、だけではない。
自分自身の身体にも、だ。
弥生や葵たちを相手にしていた時から、自分の身体の変化に疑問を感じていたが・・・。
もはやここまでくれば変化なんて生やさしいものではない。
異常だ。自分の身体に明らかに人間の範疇を超えた何かが起こっている。
おそらく自分だけでなく、この場にいる美樹たちも。
いや、おそらくはこのおかしくなった世界にいる人間すべてに。
みんながおかしくなったとき、自分は運よくそれを逃れていたと思っていたがとんでもない。
程度の差こそあれ、自分もしっかりおかしくなっていたのだ。
もしかしたらいつか自分も外にいる女たちみたいに正気を失うかもしれない。
学校で見た、風船のように膨らんでいった男子生徒みたいに、いやそれ以上におぞましいことが自分の身体に起こるかもしれない。
その恐怖はある意味死ぬこと以上に恐ろしかった。
衝撃の事実に気づいてしまった誠にもはや心の余裕はなかった。
一刻も早く自分の身体に起きている異常に対処する必要がある。
誠は泣きべそをかきながら主人の名前であろう、男の名前をつぶやく捕虜に詰め寄った。

「おい!今すぐおまえの主人の居場所を教えろっ!
 さもないとまたオレの精液でおまえをカピカピのミイラにしてやるぞッ!?」

切羽詰まった誠の迫力と、つい先ほど身に染みて味わった恐怖。
それらを前に、あれほど口の堅かった捕虜は一瞬のためらいも見せずにすべてを白状したのだった。

――――

それから誠は迅速に作戦を展開していった。
イスに括り付けられた捕虜・・・林原未来から情報を聞き出した誠は、怯える美樹たちを抱いた。
彼女たちにも自分の体液が有害か調べるためと、必要な手駒を逃がさないための処置だった。
最初こそおびえて泣き叫んだ彼女たちだったが、誠の体液が自分たちに何の害もないことがわかるとすぐに態度が変わり、今度は快楽に泣き叫びながら誠への忠誠を新たに誓った。
その後、戦闘になったときのことを考えて準備を整えると、自分の体液を材料に未来を脅し、主人のところまで無事に行けるように案内役を命じた。
主人の男に危害を加えるような連中など彼女は連れて行きたくなかったが、ミイラ化の痛みと恐怖には抗えない。
彼女は泣く泣く誠の要求を呑むしかなかった。

「こ、ここがご主人様のおわすお部屋だ・・・」
「よーし、いい子だ。で?これから先、自分が何をすればいいか、わかっているな?」
「わ、わかっている・・・。おまえらを安全にご主人様に会わせればいいのだろう?」
「そのとおり。おまえのご主人様のところまでオレを運べば後はお役御免だ。
 『巻き添え』を食わないよう、逃げるなり何なり好きにしろ」
「・・・っ」

その言葉の意味することを理解し、林原は忌々しそうに誠をにらみつける。
だが今の誠にそんなことを気にする余裕はない。
彼は今、2つのことで頭がいっぱいなのだ。
さまざまな思惑の飛び交う中、ついに運命の扉が開かれた。

「ご、ご主人様!このホテルに迷い込んだ侵入者を連れてきました!」

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