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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 34


「それじゃ、いただきまーす」
「いただきます」

パクっ。

誠たちが持ち寄った食事にかぶりついた瞬間。
弥生と美樹がそろって眉をひそめ、変な顔をした。
口元を押さえ、食べたサンドイッチやおかずを飲み込むと、不審そうに食べたものを調べだす。

「・・・?どうかしたんですか、先生?」
「ねえ、河原君。これ・・・何か変じゃない?」
「うん・・・これ、味がおかしいよ」
「・・・??そうですか?こっちはそんなことないですけど」

しかめっ面を浮かべる美樹と弥生に、誠は試しに弥生の弁当に箸を伸ばした。
適当なおかずを取って食べてみるが・・・別におかしいところは何もない。
破ったビニールを調べてみるが、消費期限も過ぎていないようだ。

「うん、やっぱり何ともないですよ、先生。気のせいなんじゃないですか?」
「そう・・・かしら?」

誠の言葉に、弥生は恐る恐る箸を取ったが・・・。
結果は先ほどと同じ。彼女はしかめっ面を浮かべるとあわててトイレへ駆け込んだ。

「ほら、やっぱりこれおかしいよ。不良品なんじゃないの!?」
「う〜ん・・・?だったらカップラーメンでも食べたら?
 全部食べられなくなってるわけじゃないだろうし」
「そうする・・・」

そう言って美樹と弥生は保存の利くカップラーメンを食べてみたが、結果は同じ。
誠には何の問題もないように感じるのだが、なぜか2人はそれを吐き出してしまうのだ。
ここまで来るとさすがに誠も何かあると考え始めた。
しかし専門的な知識も設備もないコンビニではそれ以上調べようもない。
とりあえず、何も食べようとしなかった黒髪たちにも協力してもらうことにした・・・が。

「〜〜〜っ!!(ブンブン)」
「そんなこと言わないで。ちょっとだけでいいから少し食べてみて。お願いだからっ」

しかし白髪たちは食べることをかたくなに拒否した。
元々食欲はなかったようだし、2人の様子に自分もああはなりたくないとでも思ったのかもしれない。
とは言え、食事もできないようでは安全なところまで逃げるなんて夢また夢の話だ。
いったいどうしたらいいのか。誠が途方にくれていると。

「これ・・・飲ん、で」
「あ、ありがとう。んっ・・・んっ・・・」

宮崎(仮)が、美樹に自分が飲んでいた牛乳を飲ませていた光景が目に入った。
そう言えば、美樹と弥生は食べ物に異変を訴えたが彼女だけは何も言ってこない。
それにどんな食べ物も受け付けなかった美樹が、宮崎(仮)からもらった牛乳を文句なく飲んでいる。
そこに一筋の光明を見つけた誠は、わらにもすがる思いで宮崎(仮)に聞いてみた。

「宮崎(仮)さん!、あなた、ものを食べても何ともないんですか?」
「う・・・うん・・・。大丈、夫・・・」
「狭山さんも?」
「え!?だ、大丈夫だけど・・・?あっ!?」

その言葉に誠はものは試しとばかりに美樹が飲んでいた牛乳を調べてみる。
やはりこれも賞味期限を過ぎていない。味も異常なし。

「先生!すみませんがこれ、飲んでみてもらえますか!?」
「え!?ええ・・・」

誠の気迫に押されつつ弥生は牛乳を飲んでみる。変化なし。
どういう理屈か知らないが、どうやら牛乳は飲んでも平気らしい。
それからヒントを得た誠は、乳製品を持ってきて片っ端から食べさせてみた。
何しろ彼女らは自分の身の安全を守るために欠かせない大事な仲間たちだ。
もし失おうものなら、後は狂った女たちに精を搾り取られ、肉の塊となるだろう。
誠は神に祈るような気持ちで弥生たちの食べられるものを調べ上げた。
調査の結果、わかったこと。
それは美樹たちは牛乳とヨーグルトなどの乳製品以外、受け付けなくなっているということだった。
なぜ急にそうなったのか?考えられる理由はただ1つ。
美樹と弥生は学校で急におかしくなったこと。
宮崎(仮)・黒髪・白髪はあの肉の繭から出てきた存在であることだからだ。
誠に対してやけに甘えたり、心配性になったりすることと何か関係があるのか?
もしかしてまた、おかしくなって自分に襲い掛かってくるのだろうか?
さまざまな疑問は不安を呼んで誠の心に暗雲をもたらしていく。
そしてそれは美樹たちも同じであった。
彼女たちからすれば、誠は自分たちを助けてくれた命の恩人。救世主だ。
それに見捨てられるということは、自分がまたあのおかしくなった連中の仲間入りをすることを意味する。
自分が自分でなくなるということは死と同義だ。
それは彼女たちにとってたまらなく恐ろしいことだった。
不安と疑問の視線を送る誠に、美樹たちはたまらず誠にしがみついた。

「お願い!河原クン、そんな目で私たちを見ないで・・・!」
「河原君に見捨てられたら、私たち・・・!」
「あ・・・うう・・・!」

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