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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 35

「私、たち・・・いっしょ・・・いたい・・・!」
「・・・・・・!」

女性特有のやわらかな感触に全身を包まれながら誠は感じる。
カタカタと震える弥生たちの言い知れぬ恐怖と不安を。
捨てられる子犬のような表情を見た誠は少しだけ、ほんの少しだけ落ち着きを取り戻した。
彼女たちがまだ人間だと気づいたからである。
おかしくなったのならこんなに怯えることはない。
ただひたすらに快楽を貪るだけのはず。
大丈夫。彼女らはまだ狂っていない。誠は必死に自分に言い聞かせ、奮い立たせる。
それは何もかもが壊れ、狂った世界に放り出された人間たちの、弱くも確かな絆であった。

――――

そしてその日の夜。
誠たちは補給地点として立ち寄ったコンビニで、一夜を明かすことにした。
これまでの逃亡劇に疲れていたこともあるが、何よりみなの精神状態を考えての選択であった。
寄り添うようにして眠る6人。
そんな中、何者かがムクリと起き上がり、そろそろと離れていった。

その人物はコンビニの事務所に向かうと、パソコンの前に立って何やらカチャカチャといじり始めた。

「・・・やっぱり世界規模で起こっているみたいだ、な」

インターネットで調べた結果を前に、その人物―――誠はそうつぶやいた。
パソコンのディスプレイには自分と同じように女性に襲われる男性の動画や、異変を訴える書き込みなどが表示されている。
彼がなぜ今頃になって、異変について調べる気になったのか?
落ち着いて調べるどころではなかったというのもある。
だが1番の原因は誠についてきた弥生たちだ。
誠は正気に戻ったということで今まで彼女たちと行動を共にしてきたが、正直彼女たちのすべてを信用したわけではない。
突然おかしくなったかと思うと、周囲の目も気にせず自分を襲った弥生たち。
普通の食事はのどを通らず、全裸で行動することにもまるで違和感を感じていない。
あの不気味な肉の塊から出てきた宮崎(仮)たちについては言うまでもないだろう。
どうやら今は正気のようだが、いつまたおかしくなるかわからない。
だからこそ誠は彼女たちの寝静まった今、こうして情報を集めているのである。

「・・・ん?これは・・・」

調べ物を始めて間もなくのこと。誠はあるブログから興味深い情報を発見した。
それはこの異変の生存者と思われる者からの報告のようなものだった。
その人物(おそらく男子学生)は、学校のホームルーム中、誠と同じように突然おかしくなった女子生徒に襲われたらしい。
違っていたのは誠は逃げ出したのに対し、ブログ主はそのまま餌食となったことだ。
皮肉にもそのおかげで、このブログ主は多くの情報を手にしたというわけである。
ブログによると、この人物はクラスメートや担任が精を搾り取られ、次々と肉風船に変わっていく中、なぜか1人だけ生き延びることができたと言う。
1クラス分の女子生徒を相手したにもかかわらず、精液は次から次へと吐き出され、ついには全員を満足させることに成功したのである。
最初ブログ主はおかしくなっていたとは言え、話したこともない女子生徒たちを抱いてしまったことに自分の死すら覚悟したそうだが。
彼女らは文句の1つも言わないどころか、ブログ主のためにあれこれ世話を焼いているそうだ。
ブログは自分が友人たちのように肉風船になるまでこの天国のような生活を書き綴りたいという言葉でしめられていた。
このブログを見て、誠は思わず声を上げてしまうところであった。
ブログ主の置かれている状況があまりにも自分と似すぎていたからだ。
誠はこれを見て今すぐにでもこのブログ主に会いたいという衝動に駆られた。
しかしわかっているのはブログ主がおそらく男で、学生だということだけ。
どこの学校なのか・・・そもそもこのブログ主が今も学校にいるかどうかすらわからない。
運よく居場所がわかっても、そこまで行くのには性欲に狂った女たちがわんさかいる。
現時点でこのブログ主に会うことは不可能に近いだろう。
だがそう落胆することもない。
おかしくなったこの世界で、まだ生き残りがいるとわかったのだ。
それだけでも十分な成果と言えるだろう。
誠はそう自分に言い聞かせ、なえかけた心を奮い立たせた。
その時だった。

ドカン、ガシャアンッ!!

突然コンビニの売り場のほうから大きな物音が響いてきた。

(まさか外の変態女たちがシャッターを破って襲ってきた!?)

嫌なものを感じた誠が急いで事務所から飛び出すと。
そこには棚を倒され、商品がぶちまけられたさんざんたる光景と。
おそらく棚を倒した張本人であろう、弥生たちが四つん這いになって何かを探していた。
いったい何を?そう聞くより先に美樹たちの目がいっせいに突然店内にやってきた侵入者(=誠)へと向けられる。

・・・ドキンッ!

その瞬間、誠は自分の心臓が大きく跳ね上がるのを確かに感じた。
それは得体のしれない女たちの注目を浴びてしまったことへの恐怖ではない。
いや、それもあったかもしれないがそれ以上にこちらを見つめる宮崎(仮)たちが魅力的に映ったからだ。
それはたとえるなら捨てられた子犬や道端で母親恋しさに鳴いている子猫のような、保護欲をこれ以上ないくらいに掻き立てる表情だった。
しかも全員美人・美少女なのだから、その破壊力は言うまでもない。
誠が言葉に詰まる中、誠に気づいた黒髪たちは表情を母親を見つけた迷子のような笑顔に一転させて次々と誠に飛びかかっていった。

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