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群れなして蠢く美しき屍
官能リレー小説 - ファンタジー系

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群れなして蠢く美しき屍 29

恐る恐る進む6人。
校舎は不気味なほどに静まり返り、物音1つ聞こえてこない。
そのあまりの静けさに、美樹が不安そうに誠の背中をたたいた。

「ね、ねえ。ちょっと静か過ぎない・・・?」

それは誠・弥生も気になっていたことだった。
職員室に来るときはそこかしこで狂った女たちの喘ぎ声が聞こえてきたと言うのに、今はそれが聞こえてこない。
新たな獲物を探してここを出て行ったのだろうか?
それとも宮崎(仮)たちを肉の繭に閉じ込めた犯人にやられたのだろうか?
考えれば考えるほど嫌な想像は止まらない。
そしてその想像を止めたくて、どうなっているのか確認したくなる。
しかしそれは破滅への階段。
もし見つかれば、誠は間違いなく見つかったものの餌食となる。
弥生たちのときは何とかできたが、次もそうなるとは限らないのだ。
誠は『心配ない』『大丈夫だ』と気休めの言葉で美樹を落ち着かせ、前へと進んだ。
階段を下り、昇降口へと移動する。
しかしそこには誠が必死に抑えていた好奇心をくすぐる厄介な種が待ち構えていたのだ。
「よし、ここまで来れば後もう少し・・・ん?」

昇降口にたどり着き、安堵のため息をつこうとしたところで、誠はあるモノに気がついた。
昇降口の向こう、生徒たちのいる教室棟から何か白っぽいものがのぞいている。
いったい何なのかと目を凝らしてみると・・・。

「・・・・・・っ!?」

誠の全身から血の気が引いた。それは人間の手だったのだ。
やはり生徒たちは消えていなかった。自分たちの警戒は正しかった。
誠は心の底からそう思った。
幸い、こっちからは確認できても向こうからは確認できない状況だ。
刺激しないよう、静かに移動すれば気づかれないはずだ。
誠はボディランゲージで弥生たちに手の存在を知らせ、静かに立ち去るように指示を飛ばす。
だがその時。悪魔のささやきとも言えるものが誠の耳に飛んできた。

「だ、誰か・・・助け、て・・・」

それは少々高いが、間違いなく男の声だった。
もうこの校舎には狂った女しかいないのではないのか?
男はみんな狂った女子生徒たちや女教師に絞り尽くされて死んでしまったのではないのか?
誠が想像していた状況が覆され、その心は大きく揺らいだ。
そしてその心の揺らぎは不安を呼び、迷いとなり。
誠から正常な判断力を奪うことになるのだった。
当然だ。男の生存者がいるということは、少なくとも性に狂った女たちがいないという何よりの証明なのだから。
だが罠ということもある。
もしかしたらその背後に、あの性に狂った女子生徒たちが追ってきているかもしれない。

「河原くん、あれって・・・」
「静かにっ。とにかく今は様子を見るんですっ・・・!」

今にも駆け出しそうになる衝動をぐっとこらえ、誠は黙って事の成り行きを見守った。
誠たちの見守る中、1人の男子生徒がゆっくりとその姿を現した。
いったい何人の女子生徒たちに襲われたのか、制服は着ておらず、その残骸と思われるボロ布が張り付いているだけだった。
かなり体力を消耗しているらしく、まともに歩くことすらできないようだ。
カタツムリやナメクジ並みの移動速度で、ずるずると地べたをはいずっている。
その姿はとても哀れで、見ているものの同情を誘う。

きゅっ・・・

おそらく無意識の行動だろう。
怯えて誠にへばりついていた宮崎(仮)たちが、その豊満な体を強く押し付けてきた。
だがこれはほんの始まりに過ぎなかった。

ドクン・・・ッ!

「う・・・っ、ぎッ!?」
『!?』

それはまったく突然の出来事だった。
突然出てきた男がうめいたかと思うと、苦しげに胸をつかんでもがき苦しみだしたのだ。

「お、おいっ?!だ、大丈夫かっ!?」

罠を警戒していたさすがの誠もこれには驚いて、思わず助けに行こうと前に踏み出したその時だ。

「う、ぎ、がッ・・・!?ご、おぼああぁぁぁッ!?」

男子生徒がおよそ人間の出すものとは思えない悲鳴を上げた瞬間、それは起こった。

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