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新しい風
官能リレー小説 - ファンタジー系

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新しい風 1

はるか昔、この世界を創った偉大なる者がいた。
彼は世界を昼と夜とに分け、自分の二人の娘達にそれぞれを治めさせる事にした。
金の髪を持つ美しい姉が昼を、黒い髪を持つ醜い妹が夜を治める事となった。
だが時が経つにつれ、醜い妹は明るく実り豊かな昼の世界を羨むようになった。
そして彼女は昼の世界を自分の物にしようと、自らの子供達から成る軍勢を率いて昼の世界に攻め込んだ。
姉妹の戦いは長く続き、世界は荒廃した。
これを見かねた偉大なる者は、二つの世界に昼と夜が交互に訪れるようにした。
戦いは終わった。
だが今でも二人の姉妹の血は、人間達の間に金髪と黒髪として残っている…。



「…ったく!誰が考えたんだか知らねえが、気分の悪い話だぜ!お前もそう思うだろ?カイル」
「まあまあレクス…たかが神話じゃないか。でもそのおとぎ話を本気で信じてる人もいるからなあ…ちょっと笑えないよなあ」
揃いの制服制帽に鞄を持った小学生くらいの二人の少年が道を歩いている。
二人とも12〜3歳くらい。
レクスと呼ばれた方は、いかにも活発そうなワンパク坊主と言った感じ。カイルと呼ばれた方はその逆で、線が細くて大人しそうな少年だ。
二人とも黒い髪をしている。
「だってよ、今日も社会科のキルロイ先生に『レクス、お前は黒髪の悪魔だ』って言われたんだぜ?髪の色で差別するなんて酷い話じゃねえか!」
「…いや、それはレクスが社会科準備室の地球儀を破壊してボーリングの玉にして転がしてたからだと思う…」
「う〜ん…まぁ、それはそれとしてだ。カイルの兄さんだって高等学校を主席で卒業したのに黒髪だからって理由で皇立学士院の入学許可もらえなかったんだろ?成績は文句無しの合格点だったのに…」
「兄さんは『別に私立大学でも勉強するのに問題は無い』って言ってたよ」
「悔しくないのかよ!?」
「ああいう性格だからねぇ…」
「よし、俺は決めたぜ!」
「何を?」
「大きくなったら国家議員に立候補して、黒髪が金髪と対等に生きられるようにしてやる!」
「ハハハ…まぁ、楽しみにしてるよ」
「あっ!信じてないな、お前!?」

彼らの住んでいる国、ガルシア帝国は大陸のほぼ中央に位置し、千年の歴史を誇る巨大国家である。
帝国なので皇帝によって統治されているのだが、皇家以下貴族階級は皆金髪である。
千年前、光の女神の子孫である金髪人が天から舞い降り、この地で暴虐の限りを尽くしていた黒髪人を討ち倒して建国したと正史には記されているが、今では一部の保守的な者達を除いて誰も信じていない。
人口は支配者階級たる王侯貴族を含む金髪族が7割、残り3割がレクスやカイルのような黒髪族である。

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