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新しい風
官能リレー小説 - ファンタジー系

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新しい風 2


帝国の歴史の中で、黒髪族は長い間迫害されてきた。それは前述の神話に起因する物だが、根底には征服者たる金髪族の、被征服者たる黒髪族への不信感と恐怖感があった。
しかし、文明が進んで社会が発展していく中で人々の意識も変わり、根拠の無い神話に基づく差別意識は薄くなってきている。
特に現在の女帝ロザリア23世は先進的な考えの持ち主で、様々な旧習悪習を改革し国内外から賞賛されていた。
レクスやカイルが学校に行けるのも実はロザリア女帝のおかげだ。彼女が金髪族にのみ与えられていた『教育を受ける権利と義務』を黒髪族にまで拡大させたのだ。
他にも、能力に応じた官吏への登用、雇用や福祉の保証など、黒髪族に金髪族と同等の権利を与え、黒髪金髪双方から“女神”と呼ばれ慕われていた。
最も、一部の保守派勢力などからは反感を買っていたが…。
しかしガルシア帝国は今、確実に変わりつつあった。

「レクス〜!こんな所にいたのね!?」
ふと自分達を呼ぶ声が聞こえ、二人は振り向く。一人の金髪の少女が二人を追って来るのが見えた。
「ゲッ…嫌なヤローが来やがった!」
「アリシアどうしたの!?ここは平民区だよ?」
「レクス!キルロイ先生からアンタに伝言あずかったから、わざわざ来てやったのよ!」
アリシアは二人の同級生で下級貴族の娘だ。貴族と言っても家名だけで財産は無いが…。
ちなみにここ、ガルシア帝国の帝都ガルシオールは平民区と貴族区に別れており、お互いに行き来する事はまず無い。
「えぇ〜、伝言って何だよ…?」
「アンタの日頃の行いについて親御さんと良〜く話し会いたいから、近日中に学校に来て欲しいって」
「何だと!?」
「どうやらキルロイ先生、地球儀の事が相当来たみたいだね」
「フフン…自業自得ね」
「チクショ〜、この性悪女!余計な知らせ持って来やがってぇ〜…あぁ、母さんに何て言おう…?」
このように黒髪と金髪の子供達が仲良く(?)会話を交わすのも、ほんの十数年前までは考えられなかった光景だ。
目に見えて国内の空気が改善されていっている。
しかし、その体制移行のしわ寄せは全く別の形になって現れつつあった。
黒髪に対するうっ憤や不信感が知らず知らずのうちに人々の中に溜めこまれ、女帝ロザリアそれどころか保守派勢力ですら予測出来なかった形となる…。

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