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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 58

「なによぉ〜リュック!大人をからかうもんじゃないわよ」

眉をしかめ、口をへの字に曲げたシャングリラ。
厳しめの口調でリュックに苦言を呈しているが…。

ここ数日はただでさえ退屈な日々を過ごしてきたリュック。
いい遊び相手を見つけたとばかりに。

「大人たって…ボクと五つくらいしか、変わんないじゃん!」

ニヤニヤとしながらその口を閉ざす気配は見せない。
そして…。

「それとも…“精神的おばさん”ってやつ?」

更に追い討ちをかける。

「まぁ!何がおばさんよ!」

自分で言う程、大人ではないシャングリラ。
スープの入った鍋を地面に置くと。
減らず口をきき続けるリュックの尻でも叩くつもりか…掴み掛かってゆく。

しかし…。
自然に触れ合い生きてきたリュック。
俊敏な動きで身をかわすと…。

近くでニコニコとそのやり取りを見ていたラファエルをシャングリラに向けて突き飛ばした。

ラファエルにとっては降って湧いたような災難。

「わ!わぁ!」

勢い良くシャングリラと衝突。
もんどり打って倒れ込むシャングリラとラファエル。
しかもラファエルの災難はこれだけでは終わらない。

「もぉぉ痛いわねっ!ラフィ、サッサと退きなさいよ!」

自分の下敷きになりだいぶオカンムリのシャングリラに…。
八つ当たりとも言える感じで怒鳴れてしまった。

「わぁ!ご…ごめんなさい!」 

それでも“僕のせいじゃない”とは言えないラファエル。
謝りながら慌ててシャングリラの上から飛び退く。

「きゃははははっ!」

その様子を見て腹を抱えて笑っているリュック。

「こらぁ!」

立ち上がり再びリュックを追いかけ始めるシャングリラ。

しかし胸と尻が重いシャングリラ。

俊敏なリュックを捕まえられるはずもなく、いいように翻弄されている。

そんなシャングリラの姿を見ながら…。

「僕のせいじゃないのに…」

やっとのことポツリと本音を漏らすラファエル。

その肩をポンポンと叩いて弱々しい笑みを浮かべるミラ。
ラファエルの災難に同情しているようだ。

そしてその災難の大元…リュックは。

「ははぁ〜ん、お尻が重いんでしょ!」

走り周りながらケラケラと悪態をついている。
その姿は興奮して夢中に戯れつく子猫…といった感じだ。
「もう怒ったからっ!」

リュックを追うのを止め、印を結び始めるシャングリラ。

「わっ!魔法は反則!」

それを見たリュック。
慌て野営地近くの茂みに飛び込もうとしたが…。

ドサッ――。

「てててっ…」

何かにぶつかり。
派手に尻餅をついた。

それを見て、印を解くシャングリラ。
尻餅をついているリュックに駆け寄ると。

「捕まえたわよっ!」

プリプリと怒りながらリュックの耳を摘む。

「わぁぁぁっ!ご…ごめんなさいっ!」

謝った者勝ちとばかりにさっさと謝ってくるリュック。

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