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姫騎士・リリーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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姫騎士・リリーの冒険 49

そして観衆達は突然のこの異常事態に驚愕と恐怖と興味とが入り混じった興奮状態で事態を見守っている。
エルンはエステアに言った。
「た…助けてくれたんですか?」
「うふふ…まあ、あのミーヤって子との約束だからね。あなた一生あの子に頭が上がらないわよ?」
「ミーヤさん!ミーヤさんは無事なんですか!?」
「無事よ。それより今は自分の心配をしなさい。どうする?あなたは助かりたいの?」
「は…はい!」
エルンは力強く頷いた。
「どんな手段を使っても?正直、この状況から脱出するには相当“血”を見る事になるかも知れないわよ?」
いつの間にか兵士達の数が倍以上に増えている。各所から応援に回って来たのだろう。
「そこの女ぁ!大人しく投降せよ!さもなくばそのオークと同罪に処すぞ!?」
兵士達は二人への包囲の輪を少しずつ狭めていく。
エルンは一瞬悩んだが、すぐにエステアを見上げて言った。
「構いません!僕は生きてミーヤさんにお礼がしたい!そしてリリーさんを救いたい!そのためなら何だってしてみせます!!」
「分かったわ…少し我慢してね」
そう言うとエステアは掌でエルンの目を被い、小声で素早く呪文のようなものを唱えた。
すると突然エルンは悶え苦しみだした。
「うっ!?うぐぅ〜〜っ!!!?がぁ…っ!!!い…一体何をぉ…っ!!!?」
「あなたの人間としての理性を一時的に封じ込めたのよ。そうすると残るのは野生の欲求…オークとしての破壊衝動のみ」
「ウガアァ〜〜ッ!!!」
次の瞬間エルンは自分の手を縛っていた縄を引きちぎった。
彼は完全にオークとなっていた。
「きゃあぁ〜〜っ!!?」
「オークが本性を表したぞぉ!!!!」
「ひ…怯むな!かかれぇ〜!!!」
恐れおののく人々。兵士達は一斉にエルンとエステア目掛けて襲いかかった。
しかし、屈強な兵士達もオークと化したエルンの前には赤子も同然だった。
「ぐあっ!!?」
「ぎゃあーっ!!!」
「がはぁっ!!?」
たちまち兵士達は物言わぬ屍と化し、次々と地に伏していった。
「グルルルル…ガァー――ッ!!!」
兵士達をあらかた倒したエルンだったが、その破壊衝動はまだ収まらない。
彼は街の人々に襲いかかった。
「キャアァー――ッ!!!?」
「た…助けてくれぇー――っ!!!」
「嫌ぁーッ!!来ないでぇーっ!!!!」
しかし、人々の悲鳴はエルンには届かない。たちまち広場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
「あらあら…さすがにこれはちょっとやりすぎね」
エステアはエルンに歩み寄ると、再び呪文を唱えた。
するとどうだろう。
あれだけ暴れていたエルンがピタリと動きを止めた。

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