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姫騎士・リリーの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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姫騎士・リリーの冒険 32

気をとり直してエルンは目的地の酒場に歩を進めるのだがだんだん自身が置かれている状況に違和感を感じ始めた。
先程から何分も歩いているのだがいっこうに目的地に着く気配がないのである。

それだけでない、取り巻きに追い付けないばかりか、さっきから誰かとすれ違っただろうか?

まるで自分だけ世界と切り離されたかのように辺りは静寂に包まれているのであった。

周囲を探るために立ち止まろうとしたとき、べちゃりとした感触が足の裏から伝わってきた。
馬糞でも踏んだのかと思い足元を確認すると、そこにはブヨブヨした肉の塊があった。
肉の塊は腐った葡萄のような瞳でエルンを見つめ、壊死した切り傷のような口を開き、こう呟いた。
「パパ……」

その瞬間、エルンははじけたように飛びのいた。

「ウワーー」
叫び声を上げ、それが何なのか分からず、足で何度何度も踏み潰した。
形がなくなるまで踏み潰した後、ようやく落ち着く事ができた。
それが何なのか確認しようとすると、肩にベチャとした感触が伝わった。
首を傾けて確認すると、そこには……」

「パパヒドイヨ、ナンデオニイチャンヲケルノ」
さっきと同じ、腐った肉の塊があった。
エルンは直ぐに肉の塊を放り出すと、同じように足で踏み潰した。

動揺するエルンに、この場にそぐわない艶やかな声が響いた。

「酷い事するわね、それは貴方の子なのよ」
声のした方に目をやると、そこに黒い帽子とワンピースに身を包んだ一人の女が立っていた。
「初めまして…」
「だ…誰だ!?」
「私は沼の魔女よ…」
「魔女だって…この腐肉が僕の子とはどういう事だ!?」
「それはあなたが戯れに寝た女達が身ごもり、この世に生を受ける事無く死んでいった水子の魂よ」
「な…何だって!!?」
再び足元の肉塊に目をやるエルン。
「二人だけじゃないわよ…」
「え…?」
次の瞬間、エルンは何十という腐肉に取り囲まれていた。
「うああぁぁー―――ッ!!!?」
肉塊達は一斉にエルンに迫った。
「パパ…」
「パパァ…」
ベチャ…グチャ…
エルンの体に腐肉達がまとわりつく。
「止めろぉっ!!!離れろっ!!この化け物めぇっ!!!!」
エルンは必死に振り払うが、腐肉達は払っても払っても集ってきた。
やがてエルンの体は完全に腐肉の塊の中に没した。
………
……


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