姫騎士・リリーの冒険 12
「ま、まって下さい。その…ボクを一緒に連れていって下さい」
その事に驚く2人。エルンは更に続ける
「リリーさん、あなたは、あなただけがこの姿になったボクを人間扱いしてくれた
ボクはその恩を返したいんです!!」
リリーは少し考えた後、エルンの目を見る
そしてこう言い放った。
「良いでしょう。だが私達は私達の目的の為に旅をします
正直、貴方の為に何かをやってあげる事は出来ないかもしれませんよ
それでも良いのなら着いてきなさい」
そう言って、踵を反すリリー。エルンはその背中を歓喜の表情で眺めながら「ありがとうございます」と深々に頭を下げた。
そして、エルンはリリーが行商人に上手く説明してくれたお陰で馬車に乗れた。また、エルンは豪商の末子らしく所持金を多少持っていた為、エルンはオークの姿を隠す為にフードを裸に近かったリリーとミーヤも行商人から服を買ったのである。
「エルン、ありがとう。
お陰で当座は何とかなるわ。」
「エルンさん、ありがとうございます。」
行商人から服を得られてリリーとミーヤはエルンに礼を言う。
「礼を言うのはこちらですよ。
リリーさんと出会わなければ僕は何時までも森でいじけてましたよ。」
「フフフ…そうかも知れないわね。でも貴方は自分の意思であの森を出た。それは凄い事だわ」
「あ、ありがとうございます」
「さて、私はもう寝るわ。昨日から寝てなくてもう眠くて眠くて」
そう言ってリレーは馬車の中で横になった。
他の2人も昨日からずっと起きていた為、直ぐに眠りについた。
翌朝、あの森を出て馬車に揺られる事半日の場所にあるコジャの街の
とある宿屋の一室でリリーは頬杖をついていた。
「ハァ、困ったわ…」
昨日の夜にこの街に着いて、まず宿を借り、そのままミーヤと一緒に宿付きの飲み屋(というよりは飲み屋の2階に宿があるという構成みたいだったが)
に行って簡単に情報収集をしてみた所、現在地の把握をする事ができた。
リリーの故郷であるアエラルセン王国はこのコジャの街から約1ヶ月程の道程にあり、一先ず、リリー達は己が目標を見据える事に成功したと見て良いだろう