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刄者と鬼
官能リレー小説 - ファンタジー系

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刄者と鬼 8

「くっ!!…誰だっ!!腕を止めるのは」

「おい!!それ、斬るなよ。斬ったら金貰えねえ」


声のする方、斬りかかろうとした女の後ろを睨み付けると、綺麗だが粗雑な雰囲気を漂わす女が、手を小刻みに動かす。それはまるで、見えない縄で籐弥の腕を引っ張りあげている様相であった。

「お前か!腕を止めるのは!!」

「そうだよ僕、そいつは賞金首。殺したら金頂けない奴だ…はぁっ!!」


腕を止めている女は、籐弥の腕を止めるのとは逆の手で、軽く手刀を切る動きをした。すると目の前にいた女の首が、ガクッと動き泡を吹いて項垂れていた。
「…あいつ、手も触れずに当身を…まさか!!。…鬼か?」

「ご名答、僕の察しの通りだ。だが…見境なく斬りつけるなんざ、随分と乱暴な刄者だ…可愛い僕には似合わずな」


籐弥に近付くなり、腰を屈めて顔を近付け、品定めを行うかの如く全身を隈無くジロジロと眺める女。
そんな女の言葉と視線に少しの苛立ちを感じ、こめかみをヒクつかせる籐弥。



「可愛い僕って言うな!それに斬ろうなんてしてない。峰打ちで当身をしようとしただけだ!!」

「嘘をつけ。八つ裂きにでもするってぐらいの勢いだったはずだ」

「それはこいつ等を威嚇しただけだ。刀をよく見ろ、この巨女」


いつの間にか自由に動くようになった腕を振り上げ、先程と同じ動きを女に向かって行う籐弥。無論、刀は全く当たらない距離を保っての事ではあるが。

「なるほど…斬りかかる瞬間に刃と峰を逆にしてたか。……しかし、誰が巨女だぁ、可愛い僕ちゃんさあ!!」

「お前以外に居るか!!僕は可愛い僕ちゃんじゃない。籐弥だ!橘籐弥。お前も名前ぐらい名乗れ、巨女」

「お前も何度も口にすんじゃねぇ!!俺は芹那って名前があるんだよ」


女なのに自分の事を『俺』等と呼び、今にも掴みかからんとする芹那の迫力に身を引き、少したじろいでしまったが、直ぐ様己を奮い立たせると、平然を装いながらも刀を鞘に収める籐弥だった。がそれを芹那は見逃さなかった。

「何あたふたしてんだ。それでも刄者か、僕♪…失礼、籐弥だったね」

「あたふたなんてしてない!!それより、この賞金首は僕が捕まえたんだからな」

指摘されたのが恥ずかしかったのか、顔を赤くしながら、失神している賞金首の首根っこを掴んで体を担ぎあげ、そのまま在所に向かって歩き始めると、直ぐ様芹那が並走して付いてくる。

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