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刄者と鬼
官能リレー小説 - ファンタジー系

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刄者と鬼 27

「…全く痛くない」
「治したんだよ…俺のせいで付いた傷だ…から………治…して…当然だ…

 先程まであった痛みが消え失せて驚いている籐弥の肩に、いきなり芹那の身体が覆いかぶさる。 それに驚いた籐弥は身体のバランスを崩して倒れそうになりながらも、必死に脚を踏ん張って全身を受け止めた。

「いきなりどうしたんですか?」

 籐弥の問い掛けに全く返事を返さない芹那。よくよく芹那のことを確認してみると、気を失ったかの様に薄い寝息を立てて眠ってしまっていた。
 こんな状況でに眠られても困ると籐弥は困惑しているが、そのまま放っておくわけにもいかないし、外の道すがらに身体を横にさせることも気が引けるとばかりに上手く体制を立て直し、芹那を背中におんぶする様な形になると、少しだけ力を入れて身体を抱え上げた。


(思ってたよりも全然軽い…しかも柔らかい)

 長身で肉付が良い身体なので、てっきり重くゴツゴツしているのかと思い込んでいた籐弥であったが、実際に触れた芹那は疑いようのない女性の身体付きであった為、少し拍子抜けはしたものの、これなら自分でも大丈夫だと感じ、ゆっくりと脚を進めて歩き始める。
 そんな籐弥の姿を、少し離れた場所から見ている人影があった。

「あれはお前の姉上じゃあないのか?」
「ああ、確かに…っていうか、彼奴は何をしてるんだ?」

 籐弥を見ていた人影の正体は、由市と日向で、芹那を背負っているのが気になった日向は由市の側を離れ籐弥の元へと駆け寄って来た。

「おい、姉様担いで足腰でも鍛えるのか?」
「あまり大きな声出さないでください、芹那さん寝てますから。それに足腰鍛えるなら日向さんを担いだ方がよっぽど鍛わりますよ」

 いきなり近付いて来て何を言うかと思えばくだらないことをと、呆れた表情を浮かべて少し小さめの声で日向に今の状況を説明する籐弥。その返答に小首を傾げて再び日向が口を開いた。

「姉様なんかしたのか?」
「僕の身体の傷を治した途端、いきなりこうなりましたから、何をしたと言われても…」
「あぁ、なるほど、そうかそうか。じゃあなボウズ」


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