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刄者と鬼
官能リレー小説 - ファンタジー系

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刄者と鬼 15

木刀が目の前から無くなり、改めて足を踏み出そうと前を見た日向。するとそこには、自分のよく知る女が3匹の得体の知れない畜生に囲まれていた。

「凜華!!」

「ひっ日向…助けて!!」

凜華と呼ばれた女が声を上擦らせながら日向に助けを求めると、自分の携えていた刀を引き抜くと同時に、籐弥に制止されたにも関わらず、畜生に斬りかかっていく。
だが畜生の1匹は、日向が斬りかかるよりも先に牙を剥き出して喉笛に飛び掛かり、牙が喉笛に触れようとしたその時だった。

…グジャ!!…ドシャッ!!

籐弥が目にも止まらぬ速さで振り抜いた木刀が、畜生の頭を粉砕して、絶命と同時に地面に叩き付けられる様に堕ちた。

すると、他の畜生2匹もこちらに向かって飛び掛かって来る。1匹はまた日向に向かって行った為に、難なく日向が斬り殺した。
しかし最後の1匹は、日向や籐弥ではなく芹那に飛び掛かって来た為、油断していた芹那の反応が若干遅れてしまった。
『ヤバい!!』と目を背けて、首に傷が付くのを覚悟で術を繰り出そうとしたが、自らの首には何の痛みも感じない。

恐る恐る目を開くと、籐弥が腕を突き出して自分の首を守っており、畜生は籐弥の腕に牙を立て食らい付いている。しかもその腕は、自分が術を使って傷を癒した腕だった。

「…何とか間に合った。大丈夫ですか?」

籐弥が痛みに耐えながら苦笑いを浮かべていると、芹那は無言のまま、籐弥の腕に食らい付いている畜生の頭を掴み、術の力で頭蓋骨を粉砕する。

刀を鞘に納めた日向が後ろを振り向くと、畜生の頭を掴みながら呆然と立ち尽くしている芹那と、傷付いた腕を素早く隠し、何事もなかったかの様にしている籐弥の姿が目に入った。

「姉様、大丈夫か?ついでに小僧も」

「籐弥が──
「別に何とも。ところで、そちらは大丈夫なんですか?」

芹那の言葉を遮る様に答えると、籐弥は目の前に居る凜華の心配をしろと言いたげな顔で顎を動かす。

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