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刄者と鬼
官能リレー小説 - ファンタジー系

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刄者と鬼 11

「感じる!!俺達や皆は見馴れてるけど、こいつは見ず知らずの人間なんだぞ…なぁ籐弥。お前、違和感感じてるんだろ?」


二人の言い合いから急に話を振られ、俯いた顔を上げるとコクリと頭を縦に振る。
その姿を見た芹那は、そら見たことかと言いたげな態度で祖母に向かって顔を近付ける。すると、祖母は瞳に涙を溜め口をへの字にしながら嗚咽し始めてしまった。
とりあえず、担がれている訳でもなければ夢や幻をみている訳でもなく、これは現実なんだと理解は出来た。しかし理解が出来ても、いきなり目の前の人間が嗚咽されては訳が判らない。

「あの…お祖母さん?」

「ひっく………………」

「お祖母さん?」

「……………………」


声を掛けると、泣き止んだようではあるが問いかけには反応してはくれない。
耳がいきなり遠くなったのかと訝しげな顔で見ていた。


「祖母ちゃん、身内以外がお祖母さんとか呼んでも絶対反応しないんだよ。祖母ちゃん『葵』て名前だから、それで呼んでみろ」


芹那がそっと近付いてきて、自分の口を掌で隠して耳打ちしてくれた。
お祖母さんをお祖母さんと呼んで何が悪いのか?不思議に感じながらも素直に従ってみた。


「あの………葵さん?」

「はい!!なんですか?」


先程まで嗚咽していた人間とは思えない様な明るい声色と満面の笑みを浮かべる葵。
それとは対照的に唖然とした表情で、悪い冗談にでも付き合わされているのかと感じる籐弥。
芹那はといえば、呆れた顔をしながら溜め息をついている。


結局、機嫌の良くなった葵に根掘り葉掘り質問やらを浴びせ、自分がここにいる理由から葵の外見が若々しいのかなどの気になる事が理解と納得が出来たのは、目を覚ましてからかなりの時間を費やした。


葵が答えてくれたのは次の様な事だった。

今要る場所は、賊達と対峙していた場所からはそう離れてはいない然程大きくはない村であること。
ここは葵や芹那とその妹弟が住んでいる家であること。
辺り一体に宿がなく、腕の傷があまりに酷い為に、芹那がこの家まで連れて帰り、自らの術で治療を施し、八割方を治してくれたこと。
葵が若々しいのは、鬼の力を使い、老化をひどく遅らせている。理由は女は何時でも美しくが信念だから。しかしその為に様々な術はおろか、傷を癒すことすら出来ないダメな鬼であること。因みにこれだけは、後で芹那が詳しく教えてくれたのだか…。

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