中出し帝国 62
「姫様申し訳ありません!私が感じすぎたせいでイリスちゃんに迷惑をかけてしまったんです!」
自虐気味に、そして同士を庇おうとするレーセ。そこには、深い友情の念が含まれているに相違無いだろう。
「…ちょっ…ちょっと待ちなさいよレーセ!確かにあんたの方がへこたれる回数多かったけど、あたしだってレーセの事言えないんだから、この際連帯責任で良いじゃないのよ!?」
レーセはすぐに首を横に振り、否定を続ける。
イリスの方をじっと見つめた。
「第一、私が姫様を愚弄してしまったことが何より最大の原因なんです。イリスちゃんはただ、それに乗っかっただけ。何も悪い事はありません。悪いのは私だけなんですよ。」
「…………。」
イリスは走馬灯のように昔の出来事を思い出していた。
12才の誕生日、自身の母親から「辛くなったら、迷わず私を頼って頂戴ね」と心配された事が始まりだった。無論、接合令についてである。
第2条に、『12才になった男女は児童室に入る事はできない。』とある。
この児童室というのはいわば毎週行われる接合令の日に子供を安全の為に閉じ込めておくというルールだ。
しかし、12才から扱いが変わる。男子から『男』へ、女子から『女』へと呼ばれるのだ。
イリスの母親は、やはり自分の子を想っての発言だったと伺える。
しかし、あの日……あのように予想が狂うとは、思いもしなかっただろう。
〜〜〜〜〜〜
その日は、城の中が盛大に賑わっていた。男共があちらこちらにたむろして騒いでいる。
「なぁなぁ、今日はお前、一体誰とヤるんだよ?」
「さ〜て、どうしようかね?」
「一緒に12才のヤツ犯そうぜ!」
「そうだな〜、俺ロリコンじゃねーけど。久しぶりにやろうかな?」
「さっすが!よく言ったぜ。」
イリスは、本能的にそんなやりとりを交わした男達の死角に隠れると、軽く深呼吸を繰り返した。
(恐いよ……ママ…)
怯えていた。怖かったのだ。下賎な男共の本能とも呼ぶべき心理が。
(うぅ…受け入れるしかないのかな…)
この国に生を受けてしまった女性の定め…それは週一のこの日に、男の精を無条件に受け入れること。
しかし、この年齢から売春行為を強制的に行わせるのは、やはり酷だった。
彼らの死角に隠れたからとはいえ、このままでいられるはずもない。