中出し帝国 53
足音が近づくとともに、クラウの表情がみるみる変わる。
(さて…鬼が出るか、蛇が出るか。)
手の平から、そっと魔術式の紋章を浮かび上がらせると、鎖を錬成した。
握り締めると即座に身構え、戦闘体勢へ移る。
その人物の顔を、暗がりながらも確認すると、クラウは肩の力を抜いた。
「なんだ、お前かよ。」
階段から降りてきたのは案の定ルルだった。ルルは、口調から『可愛い』方のクラウではないと察すると、文句を言った。
「ちょっ…なんだとは何よ!?大事な話があるからってせっかく来たのに!」
先程の怒りがまだ残っている為か、顔見合わせた途端に愚痴られたせいもあり、さも不快そうに表情をさらけ出すルル。
「まぁ落ち着けって。お前の方から来させたのは他でもない、ここの帝国の内政について話がしたいんだよ。」
「はぁ?…内政ったって……貴方の方がよく知ってると思うけど。」
「未確認生物だ。なにか、一般的には知られてない情報でも握ってるんじゃないのか?…ヴァクトールの娘なんだろ。」
一瞬、拳を突かれたように口を閉じたルル。しかし、その瞬間を取り繕おうと、後ろ髪を右手で掻いて面倒そうに聞き返した。
「知らない事も無いけどね。…でも、知っても何にもならないわよ?」
「それでも良い。何か俺らに教えてくれよ。」
「………やっぱり止めとく。人間、知らないままの方が良い事があるわ。聞かぬが花よ。」
クラウの問いに、ルルは頑なに拒む。ルル自身も口を開けるのに抵抗があるのか、冷たく言い放った。
「だから………っ!?」
突如、クラウはルルにキスをした。
ルルは唐突な求愛行動に理解出来なかった為、思わずクラウから離れる。
しかし、ルルの瞳はぼんやりと蕩けてしまいそれ以上の拒否行為までは続けなかった。
「…なら、身体にじっくりと聞いてやるよ。自然と喋りたくなるように、な。」
「ぁ…や、止めてよ。私、ムリヤリは嫌なんだからね!」
クラウは意外そうに目を吊り上げた。
「へぇ…昨日されたのにも関わらず、俺の呼びかけに応じた時点で期待してると思ったんだがなぁ?それほど俺が良かったんじゃねえのか?すぐにイッちまったのに。」
今朝仕立てて貰ったドレスの上から、クラウは小さめに膨らんだルルの胸を器用に愛撫する。
「違うわよ。…あの日は、ただ少し感じやすかっただけなんだから。…アンッ!……そ、それにほら…2回目は私がイカせたでしょ。」
胸には耐性が余り無いのか、喘ぎ声をほんの少し漏らす。
クラウはその些細な変化を見逃さなかった。
わざと乳首の付近をさすり、服の中から突起が誇示しているのを発見した。
「確かに、お前を一度イカせた後は油断してたな。…だが、胸は弱いのか?ちょっと揉んだだけなのに乳首が立って来たぞ?」