中出し帝国 48
「私なら新人の早漏兵士に兵法を叩き込むなど容易だし…」
(早漏って……)
「ルル殿なら何が出来るか、色々試してみるのも宜しいでしょう。」
「……そ…そうね。ありがと。元気づけてくれて。」
まさかの早漏発言に、呆気を取られていたルルだったが、思い入れを素直に受け取められた。
「しかし、10年も子供が生まれないのは些か心配だな。医者に診てもらった事はお有りで?」
「…うん。あるわよ。何の異変も見つからなかったって。」
シエラは小難しそうに悩み始める。
「…しかし、ルル殿だけが何故子供を産めないのだろうか?」
ルルは首を横に振る。
「いえ、もう一人だけ私と同じ奴いるわよ。……私のメイドで、レーセていうストーカー女がいるんだけど、あの娘も子供を授かった事無いって言ってた。検査しても何もなかったと言われたらしいけど。」
「…そうか。だが、成る事は成るようにしかならない。だから、余り深く考えないようにしてほしい。」
「ふふ、ありがと。」
「それでは、私はこれで。」
「えぇ。」
椅子から立ち上がり、自分に振り分けられた部屋へ足を進めたシエラ。
ルルも自室へと歩を進める。
(それにしても、男達がいないのは何故かしら?)
ルルが疑問に思いながら歩いていると、ルンルンとスキップをするイリスとすれ違った。
しかしその瞬間に、ルルはイリスの首根っこを掴んで自分に向かい合わせた。
「イリス、随分ご機嫌ですのね?
それはそうと、男達の姿を見ないのだけど……何かあったのかしら?」
ルルが首を傾げながら尋ねると、イリスは明らかに瞳を泳がせた。
「い、いえ……私には、何が何だか、さっぱり、です」
しどろもどろするイリス。
何か知ってるな、と勘繰るルルだったが、それ以上は詮索しなかった。
「あら……そう。それなら良いわ。ありがとう」
ルルはイリスを解放し、またスタスタと歩き始める。
イリスがホッと胸を撫で下ろして去ろうとすると、思い出したようにルルが言った。
「そうそう、ラブラブも結構だけど……浮かれすぎないようにね」
振り向き様、ニッコリと微笑むルル。
何故だか、イリスにはそれがとても凶暴なものに見えた。
蛇に睨まれた蛙の如きイリスを捨て置き、再びルルは歩き出した。
「あ、そういえばレーセどうしてるかしら?」
……拷問中、というべきか。