中出し帝国 47
「…その、拷問にかけられた女性達は?」
「おかしくなったわ、みんなね。」
さらっと答えたルル。
しかしその様子はまるで、悲しみを押さえつけるかのように、もしくはある感情を必死に取り繕うとしているかのようでもあった。
「あの部屋に入れられてから、だいたい1ヶ月くらいで出てくるんだけどね、出てきた人が最初に必ず言う言葉って、何だと思う?」
「…出られて良かった、ではないのか?」
「『次の拷問…まだかな』だって。ただでさえ身体がやつれてんのに、何嬉しそうな顔で言っちゃってるのよって思ったわ。」
上の空で答えると、シエラは恐れを抱いたかのように小刻みに震えていた。
「そ…そうなのか、分かった。ルル殿、ご忠告感謝致します。……ちなみに、その彼女達は、今はどうしているのですか?」
「…それは分からない。『毒芽』に外へ連れられてったまんま、完全に音信不通よ。…まだ、彼らについて聞きたい事ある?」
シエラはルルに手の平を提示すると、大きく何度か深呼吸をした。
「…ある。貴女は、彼らのあのおぞましい力について知らないのですか?」
「…悪いわね。昨日も言ったけど、何も分からないわ。お父様なら知ってるでしょうけど、そのお父様自体も音信不通なの。」
腑に落ちない様子で、質問を続けた。
「国の主がか?何故……。自らの国の問題より、何か大切な物でもあるのでしょうか。」
ため息を吐いた。
「それは私が知りたいんだけどね。他の国との政治には参加してるらしいけど、他はなーんにも分からずじまいなの。肝心なとこが教えてあげられなくてほんと悪いわね。」
「…いえ、そんなことは。……そうだ!ルル殿の子供と会わせて貰っても良いか?私はこう見えても大の子供好きでな。隊長になってからは忙しくて見れなかったが、よく子供を見てたものなんだ。」
気まずそうに唇を噛んだ。
「………いないの。」
「……え?」
「…生理が来てから10年間、ずっと男達とヤッてるけど、お腹に子供できた事ないの。…あはは、おかしな話よね。一国の王族なのに、子供一人生まれないなんて。」
自虐気味に言葉を綴るルル。
シエラは、どう返答すれば良いか一瞬戸惑った。
「…しかし、それはそれで良いのではないだろうか?」
「……え…。」
「確かに、民がやっているのに王族がそれをやらないでいたら、野次が飛ぶかもしれない。ご子息が生まれないのもだ。だが、それでもルル殿にしか出来ない事、そして私にしか出来ない事など数え切れない程ある。」