中出し帝国 31
身長差があるため、上目遣いで瞳をうるうるさせたイリス。
しかし、ブルーノは途端に困ってしまった。
「…し、しかし、もしそれを誰かに知られれば、イリスがどんな目に合うか…」
「…うん。そうよね…」
ブルーノが困ってしまった理由は、接合令第24条にある『如何なる理由があろうとも、女は城の外から出てはならない』とされている。
無論それは女性が逃げ出さない為の口実だが、破ったのがバレれば、捕まえられてから二週間、休みすら貰えないまま酷い道具で拷問される。最悪死刑だ。
しかし、拷問というのは名ばかりで、本当は性の玩具として犯され続ける事。
あの拷問部屋に入れられ、無事だった者などは一切聞かない。恐らくそれは、その拷問師が『毒芽』だからに他ならないだろう。
ブルーノとしては、イリスをそんな目に遭わせてしまうようなリスクは背負いたく無かった。
「城の中じゃ駄目なのですか?」
「うぅ…だって…私、ここに連れて来られてから随分経つけど、お花すらずっと見れないままなんだよ……っ……。」
イリスは自身の想いを告げると、そっとブルーノの胸に頭を押し付ける。
ブルーノはイリスの後ろ頭を大切そうに手で囲むと、優しく呟いた。
「判りました。では私が明日、花をいっぱい摘んで来ます。それをイリスの部屋に飾ってあげる。…だから、顔を上げて、涙を拭いてください。イリスは、泣き顔ではなくてただ無邪気に笑ってる顔の方が、私は好きなんですよ?」
「う……ぅ…ヒック…こ、これで…良い?」
ゆっくりとあごを上げたイリスからは、赤くなった頬と、腫れた目からは一筋の水が流れているだけ。その勢いは止まらないままだ。
「…私では、その悲しみを取り除けられませんか?」
心配そうに見つめるブルーノ。たかが一兵士が、傷付いた想い人を安心させてやれないのかという、彼なりの葛藤があったのかも知れない。
首を横に力無く振るイリス。
「ぅ……ううん。そんなんじゃないもん。……今度のはっ、う…嬉しくなっただけなんだもん!…ぅ、うわああああぁぁんっ!」
心情を悟れたのか、優しく笑うブルーノ。
「…おやおや、私の想い人はどうやら泣き虫みたいだね?」
そっとキスすると、唇を舌で割り込む。ディープキスが始まった。
(…よ、良かった…城から出ないでくれるみたいで。もし出られたら、幾ら私でも弁明出来なかったからね。)
(姫様?お言葉遣いがいつもと違うような…)
(…オ…オホホ♪…気のせいですわよ。城から出ないようですし、貴方達ももう用は無いでしょう?)
二人に気づかれない内に城の中に入り込むルル達。
「…それでは、私の自室で先程の続きでも致しましょうか?」
松明の明かりがうっすらと付いているとはいえ、暗い城内。
水を打ったような静かさで、音の出所はルル達の足音と声だけだった。