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赤い水晶のペンダント
官能リレー小説 - ファンタジー系

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赤い水晶のペンダント 16

一人が差し出された硬貨を見て笑う
「気にするなよ、嬢ちゃん。金なんかいいって、一緒に食えよ」
皺だらけの顔で白い無精ひげの男が食器を差し出した
「ああ、ずっとムサイ奴らとしか飯食ってないからな。一緒に食ってくれるなら好きなだけ食ってくれ」
若い男が器にスープを注いだ
中には不恰好に刻まれた野菜や肉がゴロゴロ入っていた
「見かけは悪いが、味は良いぞ」
中年の男はボソリと言う
「まるで俺達だな」
別の中年が言うと、男達は爆笑した
美穂は短く礼をいい、「頂きます」を言うと久しぶりの料理にかじり付いた
熱い汁が歯に沁みる
喉を降りる物が狭くなった食道を押し開き、久しぶりの固形物を迎えた胃はギュルギュルと歓喜の音を鳴らした
食べながらお腹を鳴らす美穂に男達は笑う
笑い声に反応できるほど美穂に余裕は無かった
器の中の物を食べ終わっても、そこに残った汁をスプーンでかき集めて啜る
男は器を取り上げる
美穂は取り上げられた器を追いそうになると、パンを差し出された
美穂はパンに齧り付いてると、オカワリを入れた器が差し出された
「まるで欠食児だな」
男は苦笑した
美穂はどれだけ食べたのか覚えていない
気付けば鍋の中身は空になり、美穂の膝の上はパンの屑だらけになっていた
我に返って周りを見れば、男達が面白そうに美穂を見ていた
「あ、の…」(食べ過ぎた?)
「いい食いっぷりだったよ嬢ちゃん」
「ああ。俺も作った甲斐があるよ」
「だな。今日は珍しく残飯が出来なかった」
「おめ〜らがちゃんと食えばいいんだよ!」
どうやら皺で無精髭の男が料理人みたいだ
「あの、ご馳走様でした」
「いや、お粗末さんで」
美穂が食器を持余していると、若い男が受け取り、バケツの中にかたす
「ところでお嬢さん。ナリやそこまで腹を減らしていたのは尋常じゃないように見えるが、何か訳有りか?」
リーダーらしい中年が聞いてくる
「…」
返す言葉に困る美穂
「無理にじゃない。もし良かったら聞かせてくれないか?多少の御節介は出来るかもしれない」
少し考えて美穂は話すことにした
この世界の人ではないこと
ペンダントネックレスに呪われていること
呪いの反作用の力と空腹
呪いを解いてもらい、元の世界に帰るために教団本部に向かっていること
美穂は話している内に、いかに自分が無力かを改めて認識した
美穂の話を聞き終わると、リーダーはフゥーとため息をついた
「俺らからは分からない程の苦労をしてるわけだ」
「ああ、俺達に出来る御節介なんてこのぐらいじゃないか?」
そういうと、若い男がパンパンに張った汚れた布袋を持って来た
中には食料が詰め込まれていた
「大したものじゃないが、それだけあればしばらく…嬢ちゃんなら二・三日持つだろう」
美穂は断ろうとしたが、「俺達の間では、こういった御節介を断るのは失礼だぞ」「そう。なんてったって御節介だからな」
そう言い、笑った

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