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赤い水晶のペンダント
官能リレー小説 - ファンタジー系

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赤い水晶のペンダント 15

翌日、森を抜けると目の前に広めの道が伸びていた
「この道を真っ直ぐ行くと地図に記してある別れ道に着く」
「ここでお別れですか」
「ああ、一緒にいってやりたいけど、教会をいつまでも離れるわけに行かないからな」
「名残惜しいです」
美穂はモニカと握手を交わし、感謝とお別れを告げて、街道に出た
モニカはしばらく見送ると、森の中に消えた
(寂しい。この世界から帰ったらもう、二度と会えないんだろうな
同じ世界にいれば、国は違くてもいつかは会えると思えるのに…)
美穂の胸は苦しく締め付けられ、目に涙がたまる
どこまでも伸びる砂利の敷き詰められた道
すれ違う人もいなく、まるで一本の道が書かれた球の上を歩いてる錯覚を覚える
途中、道の端から飛び出して襲い掛かる四足の獣を斧槍を振り回し、なぎ倒す
モニカが近くにいたら巻き込みかねない戦い方だった

しかし、戦うことで寂しさを紛らわせることが出来た。
空振りした刃が岩に当り、真っ二つに割った
(本当、私にとんでもない力が着いちゃってるんだ)
〈反作用の力〉
これのおかげでとんでもない力が出る反面、とんでもなくお腹が空く
三日目の夜、行き違う馬車に食料を分けてもらおうとするが、ここに来て始めてあった男を思い出してしまい、声を掛けられないでいる内に、馬車は過ぎ去る
ミーシャとモニカに分けてもらった食料はとうに尽き、食べられると教えてもらった草を鍋で湯がいて空腹をごまかす
街道から少し外れた林の中、草原で寝るより風はしのげる
水を入れた鍋を火にかけ、夜を明かす
最初は何かが来るのではと気が張り詰めて眠れなかったが、歩きつめの疲れた体はそれを許さず、美穂はいつの間にか深い眠りに引き摺り困れた
夢の中では元気に部活でしごかれていた
繰り返し行われるダッシュ
三人一組で、二着以下は別の二着以下と三人に組みなおし、再び走らされる
美穂は一回目は二着になり、ほかの組と三人になる
その組に笑顔が素敵な憧れであり、ライバル的な先輩と一緒になった
二回目のダッシュに熱が篭る
スタートの合図に大地を蹴り、猛然と走る
最初は少し越されていたが、ゴール手前で追い抜き、半身差で勝った
(やった!)
息を切らし、先輩を振り返ると、先輩のいつものニコニコした顔が般若のような形相を一瞬見えた
そこで美穂は目が覚めた
焚き火は消えかけ、鍋のお湯は少なくなっていた
林の中に日が注しはじめ早起きな鳥達は忙しそうに鳴き、飛び回っていた
寝汗で全身がびっしょりと濡れいている
(先輩、悔しかったのかな?)
あれは、ただの夢じゃなかった
いつかの練習の時をそのまま夢で見た
笑っていたけど、鬼気迫るものを感じていた
美穂は焚き火に薪をくべると、お湯を沸かしなおした
夜明けの空気は冷たく、服を脱ぐと容赦なく冷やしてくる
下着だけを手早く着替えると、洗濯用の袋に汗ばむ下着を詰め込んだ
途中、洗濯できる川があったらそこで洗濯しなきゃ
街道の先はまだまだ人気は見そうも無かった
焚き火で汗を乾かすと、空腹を訴える音を白湯で黙らせ出発の準備をした
しばらく街道を歩くと、四頭引きの荷馬車が止まっていた
大きな幌の被った荷台にぎゅうぎゅうに詰め込まれた荷物が行商をしていることを物語っている
馬車の横では数人の男が朝食を取っていた
美穂の口の中に涎が湧き出る
美穂は皮袋の中から硬貨を一枚だけ取り出し、勇気を出して男達に近づいた
男達は近づいてくる美穂に気付き、全員の視線が美穂に注がれる
「あの…」
おずおずと声を掛ける
「おう、どうした?嬢ちゃん」
「あの、コレでご飯を食べさせてくれませんか?」

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