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赤い水晶のペンダント
官能リレー小説 - ファンタジー系

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赤い水晶のペンダント 12

シュリシュリシュリシュリ…
金属がこるれるくすぐったい音に美穂は目を覚ました
昨夜は鏡のように部屋の中を写していた窓は眩い朝日が差し込み、部屋を明るくしていた
シュリシュリシュリシュリ…
音は廊下からしてくる
暖炉が消えて肌寒い布団の外に出ると美穂は体を振るわせた
音の正体が気になり、寝続けることは出来なかった
廊下に顔を出し、音のほうに向かう
突き当たりの扉が開いていた
扉は外に続いていて、そこではモニカが斧槍に砥石を擦りつけ研いでいた
「おはよう、お客人。朝ごはんの用意はもうすぐできるよ」
研ぎ続け、美穂に目を向けず、挨拶をするモニカに美穂は驚く
丸くしてる美穂の目にピカっと目映い光が入る
錆だらけの斧槍の研がれた場所が鏡のようになっていた
(びっくりした)
種さえわかればと、落ち着きを取り戻す
「おはようございます」
「ふきょあ〜!?」
気を抜いた途端に背後から声をかけられた
悲鳴からかけ離れた奇声を発し、前に飛んだ拍子にモニカの背中に抱きついた
「あぶな!?」
磨いてる斧槍で手を切りかけたモニカは美穂を叱ろうとした
が、驚きの余りに瞳孔が開ききっている顔を見たらそんな気は失せてしまった
「ごめんなさい!ごめんなさい!!」
美穂は慌ててモニカから離れた
「美穂様、大丈夫ですか?」
声の主はミーシャだった
美穂は昨夜のお礼を言われ、食事の案内をされる
お礼を言われるのは悪くは無いが、あまりお礼を言われすぎるのは気持ちいいものではないなと思った
一旦部屋に戻り着替え、ミーシャと食堂に向かう
入ると食事の用意は出来ていた
チャロも昨日と同じ席に着いていた
顔を俯かせていたが、すっきりとした笑顔でどこかはにかんでいる
食事は昨日と同じ黒くて固いパンと、昨日より柔らかめのチーズ。そして果物汁だった
昨日と変わらず盛大な食欲で美穂はそれを頂いた
空腹に勝る調味料は無いように、美穂の舌にはそれらはこの上ないご馳走に感じていた
食事が終わり、形だけみんなとお祈りを捧げるとミーシャと共にミーシャの部屋に行く
ミーシャは地図に教会から教団本部まで赤い線を引き、美穂に手渡す
そして壁に掛けられた信仰紳の絵をめくると、壁の穴からジャラジャラ鳴る袋を取り出す
中からくすんだ硬貨を掴みだし小さい袋に移す
「少ないですが路銀にしてください」
本当なら断りたいが、勝手の分からない世界
好意は甘んじて受けることにした
(偽造貨幣じゃないよね…)
「ミホ様、よろしければここに残って頂いてもいいのですよ。私は残って頂きたいです…」
申し出を丁重に断ると出発することにした
外にでるとみんなが見送りに集まっていた
モニカがピカピカに磨きあげられた斧槍を渡してきた
「昨日の斧よりいい。どうせ主のいない武器だ。持って行け」
「あ、ありがとう…」
重いを覚悟して受け取ると箒のように軽かった
ミーシャの言葉(副作用)が頭をよぎる
「ミホ様、こちらは日持ちするパンとチーズです。カビが生えても削っていただければ、一月は持ちます」
食事に出された物より重量感のあるパンとチーズを包んだ物と水筒の入った巾着をチャロが渡す
その他に、美穂の服装は旅には軽装だと教会の人たちに色々な物が追加された
(ここの人達って、基本的にお節介好きなの!?)

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