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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 94


「な…ななな…何という事でおじゃる…!!」
テントの中で寝ていたアクシミリアンは、ふと目覚めてリンダの姿が無い事に気づいた。
そこへ外からリンダとアルスの話し声が聞こえてきて、ずっと聞き耳を立てていたのだった。
「リンダめぇ〜…マロの事を“豚”じゃとぉ?あれだけ目をかけてやったと言うのに…許せぬ!!」
怒り狂った彼は武器を手に取りテントを飛び出した。
「待てえぇいっ!!!」
「な…何だ!?」
「ア…アクシミリアン様ぁ…っ!!?」
「あらあらぁ〜、どうしましょう?」
三人の前には、鋼鉄の棍棒を握り締め、鬼のような形相で立ち尽くすアクシミリアンの姿があった。
だがアルスも一部では『流星』と異名を取る歴戦の戦士。とっさにサフィアとリンダの前に出て、アクシミリアンと対峙する。
「アルス!リンダ!話は聞かせてもらったでおじゃる!!マロを侮辱した罪、その命でもって償ってもらうでおじゃるっ!!!」
「ア…アクシミリアン様ぁ、どうかお許しくださいぃ〜っ!!!」
リンダはその場にへたり込んで全身をガクガク震わせながら許しを請う。
「黙れっ!!今さら謝っても無駄じゃあっ!!!」
「ヒイィ…ッ!!!?」
シャアァ〜…その気迫に思わず小便を漏らすリンダ。
アルスは黙って刀に手をかける。
爵位を持つ2人の領主が互いの武器を手に向かい合うという緊急事態。
サフィアはアルスの実力を知っていたから別に動揺していなかったが、リンダはもう人生の終わりを覚悟していた。
「アクシミリアン様はかつて大力無双の豪傑で『クラッシャー』の異名を取っていたそうです〜。ただ高貴な出自ゆえ、あまり表に出さないようになさっていたんすよ〜」
サフィアが言う。
「その通り!!かつてクラッシャーと呼ばれたマロの怪力で貴様のような成り上がり者、一ひねりにしてやるでおじゃる!!!はあああっ!!!!」
両手に握った棍棒を構えたアクシミリアンが突進してきた。
ビュン…ッ!!
その肥満体からは想像も付かない速さで、重い鋼鉄の棍棒を一閃させる。
「…っ!!?」
アルスは驚いた。
彼も棍棒や大斧を使う強力の士は何度も相手してきただけに、そうした相手の攻撃がどんなものかが感覚で識っていた。
だがアクシミリアンの一撃はその誰よりも素早いものだったのだのだ。
しかしそこは『流星』、彼も素早くその一撃を避けた。
大地を叩いた鋼鉄棍棒を、アクシミリアンは素早く振り上げて次の一撃に向かう。
(やべえ!!何か知らんが、こいつメチャクチャ強えぞ!!?)

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