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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 91

「そうだ。我々はこれから難攻不落のアンブレラ城を攻めねばならん。それを前にして、たかが300騎の敵のために全軍を出すなど馬鹿げている。砦に籠もっている限り敵は我々には何も出来ないのだから、相手にせず放っておけ」
「分かりました。しかし中将、我々はいつまで籠城を続ければ良いのです?」
「今、ヘッセン少将が2万の軍勢を率いてこの砦を目指している。少将と合流したら一気に打って出てアンブレラを攻める。それまでの辛抱だ。その時、あの小憎たらしいオルストリア軍300騎も血祭りに上げてやろうではないか!」

一方、アルスとドン達はアンブレラ市外に張った幕営地に戻って来た。
「ほっほっほっほ〜!倍数以上の敵を全滅とな?それは見事でおじゃる!良くやってくれたの〜!」
戦果を聞いたアクシミリアンは上機嫌だった。彼は今日ずっとこの陣内に居たのだ。
アルスはドンに囁いた。
「考えてみりゃあ、いくら戦果を上げても全部コイツの手柄になっちまうんだよなぁ…」
「何か面白ぅないなぁ…」
しかし、今はオルストリア軍を装っている身だ。文句は言えない。
「ま、仕方ねえ…これで莫大な州の借金が半分無くなるんだ」
「せやな…出稼ぎにでも出とると思えば、別に苦でもないわ」
「ソナタ達、何をブツブツ言うておじゃる?明日の戦いにはマロも出るでおじゃるぞ!」
アクシミリアンはドン達が強いと分かって調子付いたようだった。アルスとドンは顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。


勝利の報は市内のババロア大公にももたらされた。
「何?300騎で1000名を全滅させた!?」
「はい、殿下!正に大勝利です!!」
部下の士官も興奮している。
「確かにそうだ…だが待てよ?アクシミリアンの奴、たった300騎しか連れて来なかったのか?」
「良いではありませんか!最精鋭の300騎ですよ!」
「まあ、そうだな。しかし驚いたな…オルストリアにそんな強い騎兵部隊があったとは…」
「アクシミリアン公の軍才も侮り難い物があります。殿下、この事は本国のガイア陛下には…?」
ババロアは少し考えてから言った。
「いや、報告する必要は無い」
その時、別の部下が入って来て言った。
「殿下!アクシミリアン公より伝言です。至急300人分の酒と食糧を分けてもらいたい…と」
「分かった。市の倉庫から好きなだけ持って行けと伝えろ」
アンブレラ市も決して余裕がある訳ではないのだが、300人分ならば大した量ではないのだ。
「それと、投石器を5台ほど貸してほしい…と」
「投石器?分かった分かった。それで勝てるなら10台でも20台でも持って行け!」

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