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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 90

ガラガラガラ〜ッ!!!!
盛大な轟音と共に何かが降って来る。
「何だっ!?」
ドルン達の眼前に大量の岩石が降り注ぎ、完全に道が塞がれた。
「マズいぞ…戻れ!戻れぇ〜っ!!」
直感的に危険を悟ったドルンが叫ぶ、しかし…
「ダメです!後ろも塞がれましたぁっ!!」
返って来たのは絶望的な部下の声だった。
ガランガランガラン…!!
次に降ってきたのは幾つもの樽だった。
「……っ!!!!」
ドルンは息を飲んだ。
樽の中には、火の付いた物も混じっていた。落ちてきた樽は砕け、油を撒き散らす。
瞬く間に辺りは炎に包まれた。
「ぎゃああぁぁ―――っ!!!!」
狭い渓谷で逃げ場を失った1000人の兵士達は成す術も無く火に飲まれていった。

「ひぇ〜、おっそろしい…。ヤツらを誘き出したのはここに連れ込むためだったんだな?」
「別働隊に指示して、前持って岩と油樽を崖の上に用意しとったんや。これで全員まとめてウェルダンっちゅう訳や!」
ドンは自信満々に言った。
「しかしよ、いくら何でもちょっと酷すぎやしねえか?」
「せやけど倍数以上の敵を全滅や!しかも味方の損害はほぼ皆無やで?」
「そりゃあそうだが…でもよ、もっと他にもやり方はあったろう」
「アルス、お前はエエ奴やけど人の上に立つ人間としてはちっと考えが甘いで」
「なに?」
「戦争は殺し合い…命の取り合いや。負けた者は奪われても犯されても殺されても文句は言われへん。せやから勝つためやったらどんだけ非情になったってやり過ぎっちゅう事は無いんや」
「そんな屁理屈は分からねえし、分かりたくもねえぜ」
「せやけどお前も一州の領主やろ?自分の土地と民を守る義務がある。この世の中そんな甘っちょろい気構えでおったら、あっちゅう間にツブされてまうで」
「大丈夫さ!」
アルスは言う。
「ほう、なぜや?」
「俺は負けねえからな!」
「ハッハッハ…何やねんそれ!?」
大笑いしながらもドンは思う。
(コイツもまだまだ若いなぁ…ま、いずれワイの言葉が分かるようにもなるやろ)

「申し上げます!ドルン准将以下1000名、敵の火計にかかって全滅です!」
「何と…」
その報告にガイアール中将は一瞬、言葉を失った。そして改めて言った。
「…これで皆も分かったと思う。いかなる理由があろうとも絶対に砦を出てはならん。良いな?」
「「「はっ!」」」
「し…しかし中将」
若い騎士が言った。
「たかが300騎です。我軍は総勢1万…全軍でかかれば容易く…」
「確かにそうかも知れん。だがその後の事を考えてみろ。我々の真の目的を忘れた訳ではあるまい?」
「はっ!アンブレラ市の奪還ですが…」

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