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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 84

「ん?寒いんか。寒いのは良くないなぁ…しゃあない、服着たるわ」
「何だ、お前ら寒さに弱いのか?」
「双方、ご理解いただけましたか?それではすぐに軍衣を用意いたします」
シルビアは部下達に命じて300人分の軍衣を持って来させた。
それを着る事で、南蛮勢は何とか軍としての体裁が整った。だが当人達は…
「やっぱムズムズするで…気持ち悪いわ」
「アン…ち…乳首が擦れて…ちょっと変な気分やわぁ…」
「大丈夫、いずれ慣れます」
かくして一行はノーマの残党討伐のために、旧ノーマ皇国の都、アンブレラ市を目指して出発した。
アクシミリアンは太りすぎて馬に乗れないため、馬車に乗って付いて来た。四頭引きの大型車で、内外にゴテゴテと飾りの付いたド派手な馬車だ。その馬車にはシルビア率いる10騎ほどの女騎士達が付き従う。皆なかなかの美女、彼女達はアクシミリアン専属の護衛であり、場合によっては夜の相手もする。
だが今回は彼女達にお呼びがかかる事は無さそうだ。アクシミリアンは最近お気に入りの侍女がおり、馬車の中には彼女も同乗している。あの金髪爆乳娘である。
二人は夜はもちろん、昼間…移動中であろうと構う事無く愛の営みを始めた。そんな時は馬車の内側に取り付けられたカーテンが閉められ、車体が不自然にユサユサ揺れるのであった。
「ケッ!まぁ〜たヤッてやがらぁ…。どうこう言える立場じゃねえが、昼間くらい控えてもらいてぇもんだぜ…」
「ホンマやでぇ…あの馬車の周りのネエちゃん達も相当ムラムラ来とんのとちゃうか?」
馬車の速度は遅い。しかも凹凸の激しい裏道が通れず正規の街道を行ったため、馬を飛ばせば3日で行けるアンブレラ市までの行程が一週間もかかってしまった。

さて、アンブレラ市は現在、皇帝ガイアの従兄であるババロア大公によって統治されていた。ビブリオン王国軍の総帥だった男である。かつての敵国の都の総督と言えば聞こえは良いが、実際は降格であった。
アンブレラ市にはもう何も残っていないのだ。宮殿の金目の物は全てガイアが本国に持ち去った。国庫の金も、宝物庫の財宝も、家具や食器などの調度品に至るまで全てである。宮殿の壁や天井に施された金銀や宝石の装飾まで剥がして行った。
城下にしても、働き盛りの男達を中心に市民の大半を奴隷として連れて行かれた。
残ったのは女子供、老人、病人くらいだ。税収も僅かな物だし、これでは大軍を養えない。仕方無く街を守るのに必要な最低限の兵力にまで軍を縮小した。
すると治安が目に見えて悪化した。窃盗、暴行、強姦、殺人…各地から流れて来た盗賊やお尋ね者などのゴロツキどもが原因らしいが、どうやら解雇された兵士達の一部も犯罪に手を染めているらしい。
「はぁ…こんな街もらったって、ちっとも嬉しくない…」
今ではババロアは政務をほぼ部下に任せ、酒を飲んで嘆く日々を送っていた。

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