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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 85

「だが考えてみればガイアは公正な君主なのかもしれないな…親戚の俺を優遇する事無く、能力に応じた役目に就けた…」
この残りカスの街が、俺にはお似合いって事なんだろうな…とババロアは自虐的に笑った。
そこへ、扉が開いて部下が入って来て報告した。
「大公殿下!オルストリア領主アクシミリアン公爵が先ほどアンブレラに到着し、挨拶に参りました」
「アクシミリアン?あの豚か…何かあったっけか?」
「しっかりしてください。ノーマの残党を征伐せよとの皇帝陛下のご命令をうけ、軍を率いて参ったのです!」
「ああ、そうだったな…分かった、会おう」
ガイアからアクシミリアンへの直接命令だったので忘れていた。
戦後、各地に逃げ延びたノーマ皇国の遺臣達が国の再興を目論んで再び集結しつつあるとの事。彼らの最終目標はアンブレラ奪還。敵の兵力は不明だが、アンブレラ市の現存の兵力では籠城するにしても厳しいため、大州オルストリアに援軍の派遣を求めていた…。
「本国の部隊を回してくれれば良いのに…冷たいもんだ。しかも全てのやり取りが俺の頭越しだ…ええい、面白くない!」
もちろんガイアにはそんな事は言えない。親戚とはいえ逆らえば首をハネられるのだ。
(何しろあの男は自分の父と兄を殺して王の座に着いたのだからな…)
その時の事は今でも忘れられない。もう10年以上も前の事だ…。

ガイアの父、グラン国王は偉大な軍略家だった。近隣諸国を次々に討ち滅ぼし、小国だったビブリオン王国を一気に列強諸国に肩を並べる大国にまでのし上げたのだ。ガイアが大陸統一を成し遂げられたのも、彼が基礎を築いたからこそである。
さて、そのグラン王には腹違いの二人の息子がいた。兄レランと弟ガイアだ。
レランの母は彼を産んですぐに死んだ。その後、グラン王はある国の姫と再婚し、彼女との間に一子を成した。これがガイアだ。
その姫というのがババロア大公の叔母に当たる。彼は外戚なのだ。
ガイアは幼い頃から残酷な子だった。3歳の時、飼っていたインコの翼と首をナイフで切り落としてキャアキャアはしゃいでいた所をグラン王に見つかり、こっぴどく怒られた。だが彼はなぜ自分が怒られているのかが理解出来ていないようであった。
その後、彼の残忍な気性は治るどころか逆にエスカレートしていった。
5歳の時、彼は猫を殺した。
7歳で犬を殺した。
そして10歳の時、ついに彼は人間を殺した。
殺されたのは若い侍女だった。
彼女は城の武器庫の中で裸に剥かれ、腹を割かれて殺された。
血と臓物の海の中、手に短剣を持ったガイアが薄ら笑いを浮かべて立っていた。彼は射精していた。
事ここに至ってグラン王は決断を下した。ガイアを城の一角にある塔に幽閉してしまったのだ。

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