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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 78

「大丈夫だ。たぶん金はいらねえ」
「アルスさん、何を言ってるんですか!軍隊を動かすのっていうのは、ものすご〜くお金がかかる事なんですよ?」
「ああ、分かってる。正式な軍隊ならな…」
「…あ、そうか!そういう事だったんですね。使者さん、大丈夫です。我が州は出兵可能です」
「本当によろしいのですね?」
「ああ!男に二言は無え!」
アルスは力強く言い切った。
「わかりました。しかし私の一存では決められません。アルス閣下のご提案は我らが領主閣下にお伝えし、数日中に再びお返事に参ります」
「おう、良い返事を待ってるぜ!」
使者は帰っていった。

「アンタらバカかいッ!!!?」
「ど…怒鳴るなよ〜!」
「落ち着いてください、カルラ様ぁ〜」
アルスとサフィアは執務室に戻ると、さっそく州の軍事担当たるカルラを呼び出して事の次第を説明した。案の定、カルラはブチ切れた。
「サフィア!アンタが付いてながら何だい、このザマは!?何で出来もしない約束しちまったんだよ!?」
「いいえ、カルラ様。出来るんです。我が州には、ほぼタダで動かせる戦力がいるじゃないですか!」
「え?州軍にはそんな部隊…」
そこへ、執務室の扉が開いてライラが入って来た。
「アルス〜、来たったで〜。ウチに用事て何やねん?」
それを見てカルラは二人の考えを理解した。
「ああ!コイツらかい!!」
「な…何や唐突に!?ウチ何か悪い事でもしたか?あ…もしかして地下の酒蔵にあったワイン勝手に飲んだんバレた…?」
「それに関しては後で懲罰房に入ってもらうとして、ライラ、至急お前らの仲間達に伝えてくれ。お前らの力が必要だ」
「任しとき!ドン酋長はじめ、アルスには水銀の件で世話んなったからな。みんな喜んで飛んで来るで!」
つまり、アルスの言うタダで動かせる兵力とは南蛮人達の事だったのである。元が盗賊なので戦闘はお手の物だし、馬に乗って移動するので、歩兵より圧倒的に早く目的地にたどり着ける。サバイバル術に長けた彼らは山中の獣や川魚を勝手に採って食うので兵糧もいらない。武器も自前だ。
「なるほどね…普通に領民の中から兵隊を徴収すりゃ武器防具類はこっちで負担しなきゃならない。傭兵を雇うにも金がかかる。しかも大量の食料輸送部隊を引き連れての行軍になっちまう。その点、元盗賊の南蛮軍なら問題無い…アルス、あんた天才だよ!!」
「ハハハ…!誉めろ!誉めろ!本当はそこまで考えてなかったんだけどな!まあ、ドンが何とかしてくれるだろうと思ってよ!」
「アルスさんて、いつも出たとこ勝負ですけど結果的にうまくいく事が多いんですよね〜」

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