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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 77

「無いから返せぬ…それは通りませんよ、閣下。他の州に借金してでも用立てていただきますぞ」
「そういうの“自転車操業”って言うんだろ?雪だるま式に借金が増えてくって聞いたぞ。そんなのゴメンだぜ!」
「閣下、今一度ご自分のお立場という物をお考えくださいませ。言いたくはありませんがジェロルスタン州の借金は莫大な額で…」
「そもそも真の目的はオルストリアを弱らせる事なんだろ?出兵したのに州の財政が無事だったら、お前ら今度こそガイアに目ぇ付けられるんじゃねえのか?」
「それは…そうかも知れませんが…」
使者は言いよどんだ。もしガイアに睨まれれば更に出費を要請してくるだろうし、下手すると危険と判断されて潰されるかも知れない。
「アルスさん、すごいです〜!いつの間にそんな知恵付けたんですか〜?」
「へへ!俺も領主になって内政とか外交とか色々と考えるようになったんだ!」
(それはバカにされているのでは…)
使者は思ったが口には出さなかった。
(どうやらこのまま押し通せそうですね〜)
押し黙る使者を見てサフィアは思った。ところが…
「おい、使者!俺に一つ提案があるんだが…」
アルスが何か喋り出した。
「その出兵、俺達が肩代わりしてやろうか?」
「はぁ…?」
「ア…アルスさん、一体何を言って…!?」
「だからよ、頼まれたノーマの残党狩り、俺達がやってやろうってんだよ。その代わり借金を半分に減らしてもらいてえ。どうだ?」
「う…!」
言葉に詰まる使者。
いきなり先程までの話し合いを不意にするような事を言い出したので何かと思えば、見返りは借金半額免除。その額はジェロルスタン州全土を売り払ってようやく釣り合うかという莫大なものであり、普通に考えればとても飲めない話だ。
だが待てよ…と使者は考えた。
アルスは話し続ける。
「もちろん俺達はジェロルスタン州軍じゃなくオルストリア州軍として戦う。それで問題無えはずだ」
(こ…これは願っても無い話じゃないか?軍資金だけでなく、兵員まで出してくれるというのだから。そもそもジェロルスタン州の借金なんて返済のアテすら無かったし。記録上、出兵で莫大な支出があったように書き換えてしまえばガイアの目もごまかせる)
だが、一つだけ気になる事があった。
「し…しかし、閣下。恐れながら貴州に出兵が出来るだけの財政的余裕があるとは思えないのですが…」

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