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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 76

「アルスさん、それ皮肉です…」
「そうなのか?まあ良いや。何の用だ?」
「ええ、本日は我が州が貴州へ貸したお金の事でお話がございまして、実は至急、借金の一部をご返済願いたいと思いまして、参った次第でございます」
「何だ、取り立てかよ」
「ど…どうしてですか?」
サフィアは使者に尋ねた。
「今までは、返済はその年の収穫が終わった時期と決まっていたそうじゃないですか。なぜ急に?」
「ちょっと、緊急で大金が必要になりましたので…」
「何ですか?」
「それは我が州の事情ですのでお話する必要は無いと存じます」
だがサフィアは食い下がらなかった。
「いえ、ぜひ理由をお聞かせください。私達も苦しい中お返しする訳ですから」
使者は少し黙ってから、話しはじめた。
「実は、ビブリオン国王…いえ、先日皇帝になられたのでしたか…そのガイア陛下から我が州に出兵の要請が参りましてな」
「出兵?また戦争すんのかよ!?どことだ?」
アルスは驚いて使者に尋ねた。
「戦争ではありません。ノーマ皇国の残党征伐のために兵を出せと仰られまして…」
「な〜んだ…でもそんならビブリオン軍だけで足りるんじゃねえのか?何でガイアはお前らなんかに助けを求めて来たんだろうな…?」
それに関しては使者は何も言わず、ただハァ…とため息を付いた。
不思議がるアルスにサフィアがそっと耳打ちした。
「オルストリアが大州だからですよ。ビブリオンは大陸全土を統一したとは言っても、その権威はまだ盤石ではありません。しかもあの王様ですから…各地方にはビブリオンに反感を持つ人々がまだまだいます。特に大きな州や国の中にはビブリオンを脅かすのに充分な力を持っている所も少なくありません。ガイア帝はそういう州や国の力を削ぐためにわざと不必要な出費を各国各州に強いてるんですよ」
他の所も「帝都の城壁を修理するから金を出せ」とか「街道を整備するから…」とか言われて金を使わされているらしい。
「ふ〜ん…ま、ウチみたいな貧乏州にゃ関係無ぇ話だな」
「いえ、関係大ありです。現にこうして借金返済を迫られてるじゃないですか。州の倉はカラッポですし…どうしたら良いでしょう?」
「どうしようもねえだろ…おい!使者!」
「はい、閣下」
「今、金は無え!だから返せねえ!スマン!」
アルスは何のためらいも無く堂々と言ってのけた。

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