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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 65

アルスとサフィアはドンと村人達に別れを告げ、ライラの案内で幽霊の出る洞窟へとやって来た。
「ここや」
「これは…自然の洞窟じゃないですね」
洞窟の入り口は綺麗な正方形をしていた。それは明らかに人間の手が加えられた事を意味した。
「お前らが掘ったのか?」
「ちゃう。ウチらが密林に移り住んで来る前からあったんや。昔から住んどった連中も知らん言うとった。ずっと遠い昔に作られたもんらしいわ」
「ずっと遠い昔ですか…神聖ノーマ帝国がアルシア大陸を治めていた頃ですか?」
「それは分からんわ。ずっと遠い昔言うたらずっと遠い昔やねん」
「何だそりゃ…」
文字を持たない南蛮人は歴史や年代を記す事が出来なかった。
「せやけど昔からこの洞窟の中には絶対に入ってはならんと言われとった。ある時バカが度胸試しや言うて入って行ったんやけど、しばらくして飛び出て来て『中で幽霊に会うた』言うた後にポックリ死んでもうたんや」
「サフィア、分かるか?」
「さっぱり…あるいは本当に幽霊さんの仕業かも知れませんよ」
「そりゃあ面白そうだ!俺は行くぜ!幽霊ってのにも会ってみてえしな!」
「私はアルスさんの行く所なら、どこでも付いて行きますよ〜」
「なあ…ウチ、残っててもエエかなあ?まだ死にたないし…」
強気なライラがいつになく弱気だ。
「良いぜ。ただ、ここで一人で待ってる事になるがな」
「あ!や…やっぱ連れてってや!」
三人は洞窟に足を踏み入れた。

そこは洞窟というより完全に人の手で作られたトンネルだった。入り口と同じ長方形のまま、奥へ奥へと伸びている。
床、壁、天井は所々崩れていたが綺麗な平面で、その材質は石のようでも金属のようでも粘土のようでもあった。
ライラは何度も何度も入り口の方を振り返っていたが、光が見えるか見えないかという辺りまで来ると、ついにアルスにしがみついて言った。
「アルス!もう帰ろうや!今ならまだ間に合うで!!」
「うるせえ!帰りたきゃ一人で帰りゃ良いじゃねえか!」
「ライラさん、戻るならまだ入り口の光が見える今の内ですよ〜?」
「そういうこった!」
アルスはライラを振りほどき、一歩踏み出した。
その時。
突然天井の一部分がパッと光輝いた。その光は長方形で、あまり大きくなく、奥へ奥へと無数に連なっていた。
「ぎゃあぁーっ!!!出たぁーっ!!!?」
ライラはそう叫んでバッタリと倒れた。
「気絶したか…サフィア、この光は何なんだ?」
「さあ〜?照明じゃないでしょうか?害は無いと思うんですが…」
「そうか!じゃあ先に進もうぜ」
アルスは気絶したライラを背負い、歩き出した。

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