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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 66

「うふふ…」
「何だよ、何がおかしいんだ?」
「いえ、アルスさんは口では厳しい事を言ってても、本当は面倒見が良いんだなあ〜って…」
「んな事ぁ無ぇよ!それより、このトンネルを作ったヤツらってのは一体何者だったんだ?」
「分かりません。こんな明るい照明は見た事ありませんし、近付いただけで灯りが点るという仕掛けも謎です。壁や床の材質も不明ですし…これは明らかに私達の科学技術では作れない物です」
「ふ〜ん、そうなのか…」
「…って、驚かないんですか?」
「驚きてえが、それがどんだけスゲェ事なのか実感が湧かねえんだ…」
「凄い事ですよ!」
珍しくサフィアが力説する。
「私は、これはもしかして神話の時代…人間が神の力を持っていた時代に作られた物なのではないかと思うのです。もしそうだとしたらこれは本当に凄い事です。神話が史実だったと照明する証拠なんです!」
「何言ってるんだ?神話は昔、本当にあった事だろう?」
「いえ、そういう事ではなくてですねえ…」
ここでアルスが言っているのは、おとぎ話を信じる子供と同レベルの話である。

アルスとサフィアは更に奥へと進んだ。1キロほど歩いただろうか。ついに二人は最深部にたどり着いた。そこには扉があった。
「幽霊が出るってのはこの中か?」
「たぶん、入ってみれば分かりますよ」
「そりゃそうだな」
そう言ってアルスが扉に近付くと、扉はウィーンという音を立てて、ひとりでに開いた。
「中に入れって事か…面白え」
アルスは扉の中に足を踏み入れた。
中は意外と広く、天井もかなり高かった。小さい城の玄関広間くらいあるかも知れない。
暗くて良く分からないが、部屋全体が円形になっているようだ。中央には低い六角形の台があった。
「何だ?この部屋は?」
「分かりません…宮殿なのか…神殿なのか…それとも陵墓なのか…でも装飾の類が全く無いから、もっと実用的な空間なのかも…」
そう言いながらサフィアは側の壁に触れた。
すると突然、触れた部分が輝き出した。
「キャッ!」
驚いたサフィアは慌てて手を離して尻餅をついた。光はサフィアが触れた部分から見る間に壁一面に広がっていき、360°ぐるりと覆い尽くした。
「大丈夫か!?サフィア!!」
「は…はい〜…何とか…」
壁の全面が光って部屋の中は昼のような明るさになった。
「んん〜…何やぁ?もう朝かいなぁ…って、えぇ!!?何やねん、ここ!?」
アルスの背中のライラも目を覚ました。

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