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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 63

「お前ん家だと?」
アルスはサフィアを背負ってライラの後を追った。
ライラは同じような形の家群の中の一つに入っていった。特に目印も無く、アルスには他の家と見分けがつかない。
「住んでるのはお前1人だけか?」
「まあな」
「それにしちゃ広すぎねえか?」
「初めは5人やってん。まずオカンがウチを産んだ後に産後の肥立ちが悪うて死んだ。次にオトンが10年前に、それから姉貴が5年前に、さらに兄貴が2年前に、それぞれ仕事中に死んで、最後にウチだけ残ったんや」
「ふ〜ん、お前もけっこう壮絶な人生歩んでんだな」
「それほどでもあらへんよ」
重い話なのだが二人ともアッケラカンとしているので、まるで悲壮感が無い。ちなみに仕事とはもちろん盗賊の事だ。
「それよかお前、さっきはようもウチんこと犯してくれたなあ?」
「しょうがねえじゃねえか。あん時ゃ、ああするしか無かったんだからよ」
アルスは木とワラで作られたベッドの上にサフィアを寝かせながら言う。
「あかん!絶対に許さへんぞ!責任取ってもらわにゃ…」
「責任って何だよ?」
「ウチを…」
ライラはうつむいて何か言ったが、声が小さくて語尾が聞き取れなかった。
「何?もっとハッキリ言え。聞こえん」
「ウチを抱けっちゅーたんじゃ!こんボケが!!」
ライラはアルスの耳元で思い切り叫んだ。
「ぐぁ…っ!!?」
アルスは耳を押さえて飛び退いた。
「バ…バカヤローッ!!!鼓膜破れたらどうすん…っ!?」
彼の怒りの叫びはライラによって断たれた。彼女の唇がアルスの唇を塞いだからだ。
「ん…んん…チュ…」
ライラはアルスにギュッと抱きついて唇を吸う。アルスもライラの肩に手を回す。
どれくらいの間そうしていたろうか…数分だったかも知れないし、ほんの数秒だったかも知れない。やがて二人は唇を離した。
「アルス…今度はちゃんと愛して…」
「ライラ…」
サフィアはスヤスヤと安らかな寝息を立て始めた。その隣で二人の影が静かに重なり、やがて一つになっていった。村中に太鼓の音と睦み合う男女の喘ぎ声が響き渡る中、南蛮の熱い夜は更けていった…。

…で、その翌日。
「昨夜は私、自分が自分でなくなってしまったようでした…でも後悔はしてません…」
「あかん!悪夢や!ウチの人生で最大の過ちを犯してしもた!!」
「いや、俺がお前を犯したのさ!」
「ちっと黙っとれ!アホ」
サフィアとライラは昨夜のアルスとの情交を覚えていた。だがその感想は正反対であった。

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