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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 7

無双のアルス…ここ2〜3年の内に超新星の如く現れた剣豪であり、今や傭兵業界ではその名を知らぬ者は居ないと言われるほどの圧倒的な強さを誇っている。
たった一人で一個連隊を全滅させたとか、単身で敵陣の奥深くまで斬り込み敵将の首を残らず狩り取ったとか、まさに一騎当千…いや当万の猛者である。
彼を雇うために各国の王や貴族は城が建つほどの金を用意するという。
「あんた…いや、あなた様はそんな有名な方だったんですかい?」
「おう、まあな!」
「信じられねえ。もっと熊みたいな大男かと思ってたぜ」
「こりゃあ、カルラさんが殺らなくても隊長は死んでたな」
「でもこれで俺達は百人力だ。頼りにしてますぜ、アルスの旦那!」
アルスの正体を知り、勢い付く傭兵達。
「し…知りませんでした!ご主人様は強かったんですね!!」
アイシャも興奮している。
「ところで俺達、今夜の寝床を探してるんだが…」
「前隊長が安宿に3人分の部屋を取ってくれてる。案内するよ」
なぜ3人分なのか…簡単だ。今夜はカルラとサフィアと楽しむつもりだったのだろう。
まさかそのカルラに頭をブチ割られるなんて思いもしなかっただろう。
カルラが安宿と言っていたが、案内された宿屋は本当に大風が吹けば倒壊しそうなボロ屋だった。床は歩く度にギシギシ鳴るし、アイシャが荷物を下ろすと底が抜けた。壁は板一枚らしく、隣の部屋の声が筒抜けだった。
『あぁ〜んっ!!抜いちゃイヤ〜ン!中に出してぇ〜』
「お熱いねえ。まだ日も高えのに…」
「それよりご主人様!私、ご主人様が『無双のアルス』なんて呼ばれてるなんて知りませんでした!!」
「あぁ、俺だって知らねえよ」
「へ?」
「私は『無双』だなんて一言も口にしてないよ」
「ど…どういう事ですか?」
「『無双のアルス』さんはアルスさんではありません。同じ名前の方が他にいらっしゃるんです。皆さんは勘違いをされているのです」
サフィアがやんわりとした口調で言った。
「えぇ!?何で言ってくれなかったんですかぁ〜!!信じちゃったじゃないですかぁ!!」
「だって、皆さんがアルスさんの事を『無双のアルス』さんだと思い込んでくだされば、隊の士気も上がるじゃありませんか」
「そりゃ、確かにそうですけど…」
「私達の隊だけじゃありません。それだけの英雄さんが味方に居るという事になればノーマ軍全体の士気も上がります」
「そういうこと。それにアルスの実力なら『無双』の名に勝るとも劣らないと思うよ。だから私もあの場で何も言わなかったのさ」
「でもでも…もし本物が知ったらきっと怒られますよ〜!」
「いや、怒られるっていうか…」
「その場で決闘だな…」

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